[H19] リース取引と消費税に関する質疑応答事例
2008年11月21日
日税連から1週間、国税庁も質疑応答事例を出してきました。どうして日税連が先に出したのか非常に不可解ですが、とりあえず、公式見解登場です。以下、全文引用の上、コメントを付しています。
所有権移転外ファイナンス・リース取引について賃借人が賃貸借処理した場合の取扱い
【照会要旨】
所有権移転外ファイナンス・リース取引(所得税法施行令第120条の2第2項第5号又は法人税法施行令第48条の2第5項第5号に規定する「リース取引」をいい、以下「移転外リース取引」といいます。)につき、賃借人が賃貸借処理(通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理をいいます。以下同じです。)をしている場合には、そのリース料について支払うべき日の属する課税期間における課税仕入れとする処理(以下「分割控除」といいます。)は認められるでしょうか。
【回答要旨】
移転外リース取引につき、事業者(賃借人)が賃貸借処理をしている場合で、そのリース料について支払うべき日の属する課税期間における課税仕入れ等として消費税の申告をしているときは、これによって差し支えありません。
つまり、賃貸借処理をしている場合には、一括控除と分割控除の選択制になったということですね。いいんでしょうか、こんな有利なことして。
(理由等)
移転外リース取引については、リース資産の譲渡として取り扱われ、消費税の課税仕入れの時期は、課税仕入れを行った日の属する課税期間において控除(以下「一括控除」といいます。)するのが原則ですから、移転外リース取引によりリース資産を賃借した賃借人においては、当該リース資産の引渡しを受けた日の属する課税期間において一括控除することになります(22 賃借人における所有権移転外ファイナンス・リース取引の消費税法上の取扱い)。
そうです。原則もなにもこれだけだったはずです。
しかしながら、消費税の仕入税額控除については、事業者の経理実務を考慮して、その時期についてはこれまでも各種の特例を認めているところであり、これと同様の趣旨から、会計基準に基づいた経理処理を踏まえ、経理実務の簡便性という観点から、賃借人が賃貸借処理をしている場合には、分割控除を行っても差し支えないとしたものです。
賃貸人における取扱いは、原則売買(譲渡)、特例も売買(延払条件付譲渡)です。これは、消費税法基本通達5−1−9(リース取引の実質判定)に沿うものです。
ところが、賃借人における取扱いは、原則売買(取得)で、特例は賃貸借です。なんかおかしいような・・・。
(注)
1 仕入税額控除の時期を変更することの可否
例えば、賃貸借処理しているリース期間が3年の移転外リース取引(リース料総額945,000円)について、リース期間の初年度にその課税期間に支払うべきリース料(315,000円)について仕入税額控除を行い、2年目にその課税期間に支払うべきリース料と残額の合計額(630,000円)について仕入税額控除を行うといった処理は認められません。
本件の取扱いは、移転外リース取引についてはリース資産の引渡しを受けた日の属する課税期間(すなわちリース期間の初年度)において一括控除することが原則であるところ、その仕入税額控除の時期において、賃貸借処理に基づいて分割控除して差し支えないとしたものであり、上記のような処理はこれに該当しません。
ということは、「一括控除しかできません」という言いつけをちゃんと守ってすでに申告が終わったものについては、一括控除しちゃってるので、例え賃貸借処理していたとしても「ごめん! もう遅いんだわ」ってことですか?
2 簡易課税から原則課税に移行した場合等の取扱い
本件の取扱いは、賃貸借処理している移転外リース取引に係る賃借人における仕入税額控除の時期について、分割控除して差し支えないとするものですから、次に掲げるような場合のリース期間の2年目以降の課税期間については、その課税期間に支払うべきリース料について仕入税額控除することができます。
(1) リース期間の初年度において簡易課税制度を適用し、リース期間の2年目以降は原則課税に移行した場合
(2) リース期間の初年度において免税事業者であった者が、リース期間の2年目以降は課税事業者となった場合
今まで「賃借人はお金を払ってないのに一括で課税仕入れになるから有利」だと思っていましたが、実は、一括控除が不利になる場合があるんですね。特に(2)の場合。
新しく会社を設立して2年間は免税事業者になる事業者なんかは、これの取扱いを知っているか知らないかで大きく違いそうですね。
【関係法令通達】
消費税法第30条第1項、所得税法第67条の2、法人税法第64条の2、所得税法施行令第120条の2第2項第5号、法人税法施行令第48条の2第5項第5号、消費税法基本通達5-1-9、11-3-2
とりあえず、この取扱いができる関係法令通達は、この中どころか、世の中にないはずなのですが・・・。
注記
平成20年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
そんなこんなで違和感を覚えつつ、でも結局、納税者有利なので、まいっか、となりそうな今日この頃です。


