2008年05月01日

なぜ4月30日が公布・施行日なのか

不利益不課税防止のための経過措置

 ガソリン税の暫定税率については、5月1日からもとに戻るということで、法律の公布・施行日はてっきり5月1日だと思っていましたが、実際には4月30日に公布・施行となりました。

 どうしてそうなったのかは、措置法のうち、遡及課税とならないように手当てされた「欠損金の繰戻還付」について政令で設けられた経過措置が鍵になりそうです。

所得税法等の一部を改正する法律附則第119条の2の規定による経過措置を定める政令


 附則119条の2は、もともと所得税法等の一部を改正する法律案が出たときはなかったものですが、年度末にスピード可決した「国民生活等の混乱を回避するための租税特別措置法の一部を改正する法律」の中に含まれています。

国民生活等の混乱を回避するための租税特別措置法の一部を改正する法律
附則2条(所得税法等の一部を改正する法律の一部改正)
 所得税法等の一部を改正する法律(平成二十年法律第▼▼▼号)の一部を次のように改正する。(中略)

 附則第百十九条の次に次の一条を加える。

 (この法律の公布の日が平成二十年四月一日後となる場合における経過措置)
 第百十九条の二 この法律の公布の日が平成二十年四月一日後となる場合におけるこの法律による改正後のそれぞれの法律の規定の適用に関し必要な事項(この附則の規定の読替えを含む。)その他のこの法律の円滑な施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

 そういうわけで、公布日に「所得税法等の一部を改正する法律附則第119条の2の規定による経過措置を定める政令」が出ることになりました。


4月決算法人の適用を回避か

 この政令では、欠損金の繰戻還付の不適用について、経過措置を設けています。

所得税法等の一部を改正する法律附則第119条の2の規定による経過措置を定める政令
5条(欠損金の繰戻しによる還付の不適用に関する経過措置)
 新租税特別措置法第66条の13第1項の規定は、法人の改正法の公布の日以後に終了する同項に規定する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に終了した旧租税特別措置法第66条の13第1項に規定する事業年度分の法人税については、なお従前の例による

 つまり、平成20年4月1日〜29日に事業年度が終了したものについては、なお従前の例によることから、適用停止となると考えられます。

 欠損金の繰戻還付制度のように、終了事業年度ベースで適用を判断するものにとっては、施行日が4月30日と5月1日では、1日違いで大違いです。

 もし5月1日に施行されていたら、4月30日に終了する普通の4月決算法人は、欠損金の繰戻還付制度を受けることができました。しかし、残念ながら4月30日に施行されたので、適用は受けられません。

 たまたま4月1日から4月29日に終了した法人が、日本にどれだけあるかわかりませんが、4月決算法人がそこに入るのとはいらないのとでは、その数は、全然違いますよね。

 くどいようですが、法人税の納税義務の成立は、事業年度終了時ですので、4月30日に法律ができてしまえば、間に合ってしまうのです。


 「社長! ここは思い切って4月○日に決算日を変更して、欠損金の繰戻還付を受けましょう」

 と提案した税理士さんが、世の中にいたのかどうだか・・・。少なくとも、4月1日〜4月29日に変更していたら、この提案はセーフということになります。

欠損金の繰戻しによる還付の不適用(法人税)

(3) 適用関係

 改正後の規定は、法人の公布日(平成20年4月30日)以後に終了する事業年度分の法人税について適用され、法人の公布日前に終了した事業年度分の法人税については、従前のとおりとされています。つまり、改正前の規定は、平成20年3月31日までの間に終了した各事業年度について、原則として、欠損金の繰戻し還付制度を適用しないというものであり、平成20年4月1日以後公布日前に終了した事業年度については、欠損金の繰戻し還付制度の適用があります

 財務省のホームページでは、このような書き方をしています。公布日前ですから、4月29日ですね。

 役所の中ではこれでOKかもしれませんが、国民に対する説明としては、「4月30日に終了した事業年度については、欠損金の繰戻還付制度の適用はありません。」と1文書くべきではないかと、個人的には思うところです。


交際費は、切れ目なしです

 交際費について、このブログでもいくつか記事を書きましたが、特に経過措置が設けられるわけでもなく、2年延長されました。

交際費等の損金不算入(法人税)

(3) 適用関係

 改正後の規定は、平成18年4月1日から平成22年3月31日までの間に開始する各事業年度について適用されます。

 どうして交際費が遡及課税に当たらないのかは、以下の記事をお読みいただけば、多少は参考になるかと思われます。ポイントは、交際費等の損金不算入制度が、開始事業年度ベースの制度という点と、法人税の納税義務の成立が事業年度終了時にある点でしょうか。

*関連記事*
交際費よりも欠損金は大丈夫?
どうなる交際費と30万円未満(改訂増補版)


 この記事は、調べ物のお役に立てましたでしょうか。
今後ともよろしくお願いします!



(注)注意事項
 当ブログは見ていただく方に有益な情報の提供を目的としております。しかし提供する情報はその全てにおいてその正確性を保証するものではありません。
 また、関連法令は更新日の日付の時点のものを掲載しています。


双葉更新履歴
 [2008/05/01 初投稿]



トラックバックURL

この記事へのコメント

4. IKE    2008年05月02日 13:39
複数の法律をまとめて「所得税法等〜」としているところが、問題ですよね

ただ、この機会に、ガソリン税がどうとかこうとかという議論以外にも、尽くしてほしかったところです。

欠損金の繰戻還付制度は、手当てがされてめでたしというものではなくて、適用停止でずっときているのが、異常だと思いますし。中小企業の事業承継を考えるのであれば、継承される企業が継続するように繰戻還付を認めるのが当たり前だと思うのですが・・・。
3.  徳留新人    2008年05月01日 16:02
うわぁ〜、そうキタのね♪ってのが感想です(笑)

そもそも、まともに議論していない法律が、唯一の論点によって、ここまで影響を受けちゃう法制度自体に疑問。。。
2. IKE    2008年05月01日 12:07
出せないことはないですが、試験委員さんにとって
も賭けですね(一一)
今年度は、試験委員さんの方が、下手なものを出したらなので、どうなるんでしょうか。
1. どや    2008年05月01日 08:54
繰戻還付、計算の個別で
出題されたりして・・・
( 一一)

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔