2008年04月30日

納税義務の成立と納付税額の確定

Q. 法人税の納税義務はどの時点に発生しますか?

A. 事業年度終了時に成立し、申告時に確定します。


なぜ今、3月決算をやっているのか?

「はぁ、今年も3月決算の季節がやってきたなぁ」
「お疲れさま、ワカバくん」
「お疲れさまです。モミジさん」
「今日は税制改正の法案が1ヶ月以上遅れて通ったわね」
「そうですね。いや、それも大事ですけど、目の前の3月決算の方が・・・」

「ワカバくん、若いんだから。そんな、目の前のことだけじゃなくて、大きな視点で物事を考えたり、当たり前のようにやっていることの背景を知ったりすることも大事なことよ」
「う〜ん。そんなこと言われてもなぁ」
「たとえば、ワカバくんが今やっている3月決算は、どうして今、申告書を作っているのかしら」
「え? ・・・ええっと、そりゃだって、税金を納めるためには、帳簿を締めて、決算書を作って、それをもとに申告調整して、申告書を作らないとダメじゃないですか」

「いい回答ね。税制改正のこともあるから、納税義務の成立の話でもしておきましょうか」
「納税義務の成立?」

 日本国憲法30条は、納税の義務を規定しています。

日本国憲法30条
 国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負う。

 この納税義務を考えるときに、「納税義務というのは、いったいいつ発生するのか」ということも、重要な要素となります。

 特に国税の多くは、申告納税方式をとっていますので、納税義務者が自ら申告を行うこととなります。納税義務がいつ発生するかをはっきり法律に書いていないと、いつ申告をしていいかもわかりません。


 これについては、法人税法や所得税法の各個別税法には載っていません。国税の場合は、共通事項を定めた、国税通則法に規定されています。

国税通則法15条
 (納税義務の成立及びその納付すべき税額の確定)

 国税を納付する義務(源泉徴収による国税については、これを徴収して国に納付する義務。以下「納税義務」という。)が成立する場合には、その成立と同時に特別の手続を要しないで納付すべき税額が確定する国税を除き、国税に関する法律の定める手続により、その国税についての納付すべき税額が確定されるものとする

 まず1項が言っているのは、「納税義務の成立」と「納付税額の確定」という2つのイベントがあるということです。

 この2つが同時に発生することもありますが、多くの場合は、先に「納税義務の成立」があって、その後に課税標準の計算を経て、「納付税額が確定」するということです。


終わりよければすべてよし?

「法人税は、納税義務の成立と、納付税額の確定の時点が異なるのよ」

国税通則法15条
 納税義務は、次の各号に掲げる国税(第一号から第十二号までにおいて、附帯税を除く。)については、当該各号に定める時(当該国税のうち政令で定めるものについては、政令で定める時)に成立する。

「1号から14号まであるんだけど、そのうちから代表的なものを拾ったら、こういうふうになるのね」

・所得税 暦年の終了の時(注)
法人税 事業年度の終了の時
・相続税 相続又は遺贈による財産の取得の時
・贈与税 贈与による財産の取得の時
・消費税 国内取引:課税資産の譲渡等をした時
      輸入貨物:保税地域からの引取りの時
・印紙税 課税文書の作成の時

(注) 源泉徴収による所得税は、源泉徴収をすべきものとされている所得の支払の時

「法人税の納税義務の成立は、事業年度の終了の時なんですね。3月決算だと平成20年3月31日ですね」
「そうね。でも、ワカバくんが今、3月決算と呼ばれるものをやっているけど、これは、申告書の作成まで含んでいるでしょ。法人税は、納税義務が成立したあとに、納付する税額を確定させる作業が必要よね」

「あ、なるほど! 納税義務の成立(平成20年3月31日)と納付税額の確定(平成20年5月31日まで)のタイミングが異なるんですね」
「そういうことよ。私たちが3月決算(申告を含む。)を今やっている理由というのは、法人税が申告納税方式をとっている税金で、納税義務の成立と納付税額の確定がずれて、その確定を納税義務者に代わって行っているからなのね。これは、法人税が個々の取引単位ではなく、期間を基準にした期間税だからね」
「そうかぁ。…なんか、当たり前のことを言われただけのような気もしますけど、どこかに根拠となる法律があるんですね」


賦課課税方式と自動確定

「ちなみに、申告納税方式については、その次の16条で規定されているわね」

国税通則法16条
 (国税についての納付すべき税額の確定の方式)

 国税についての納付すべき税額の確定の手続については、次の各号に掲げるいずれかの方式によるものとし、これらの方式の内容は、当該各号に掲げるところによる。
一 申告納税方式
 納付すべき税額が納税者のする申告により確定することを原則とし、その申告がない場合又はその申告に係る税額の計算が国税に関する法律の規定に従つていなかった場合その他当該税額が税務署長又は税関長の調査したところと異なる場合に限り、税務署長又は税関長の処分により確定する方式をいう。
ニ 賦課課税方式
 納付すべき税額がもつぱら税務署長又は税関長の処分により確定する方式をいう。
 国税(前条第三項各号に掲げるものを除く。)についての納付すべき税額の確定が前項各号に掲げる方式のうちいずれの方式によりされるかは、次に定めるところによる。
一 納税義務が成立する場合において、納税者が、国税に関する法律の規定により、納付すべき税額を申告すべきものとされている国税 申告納税方式
二 前号に掲げる国税以外の国税 賦課課税方式

「あれ? 国税でも賦課課税方式のものがあるんですね」
「そりゃあるわよ。例えば、法人税の加算税なんていうのは、その典型ね。納税義務者自身ではなくて、税務署長とかが確定させるのね」
「そういえば、税額が書かれた紙が来ますね」

「それ以外に、納税義務の成立と同時に自動確定するものもあるわよ」

国税通則法15条
(納税義務の成立及びその納付すべき税額の確定)

 納税義務の成立と同時に特別の手続を要しないで納付すべき税額が確定する国税は、次に掲げる国税とする。
・予定納税に係る所得税
・源泉徴収による国税
・自動車重量税
・印紙税の一部
・登録免許税
・延滞税及び利子税

「自動車重量税って、確か5月1日から期限切れになる可能性があったんですよね…」
「そうね。ガソリン税は1ヶ月の空白ができたけど、自動車重量税に限っては、期限が1ヶ月遅かったから、ちょうど救われたって感じね」
「車検をやってる会社は、大変だったみたいですよ…」

「あれ? もうこんな時間だ! ちょっとの予定だったのに」
「あららそんなに慌てなくても・・・行っちゃった。ワカバくんにはもう少し教育が必要かしらね」


双葉更新履歴
 [2008/04/30 初投稿]



トラックバックURL

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔