2008年04月09日

交際費よりも欠損金は大丈夫?

交際費「今なら使い放題」?
          税制「ハプニング」に「社用族」ニンマリ

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080405-00000000-jct-bus_all

 この記事を読んで、「よっしゃ交際費ジャブジャブ使ったろう!」と実際に行動したら、あとで経理で落ちなくて自腹切って泣くんじゃないかなぁ、と思う今日この頃です。

3月決算法人以外は、4月1日以後も適用

 いろいろなツッコミどころがあって面白く、また、今年の税制改正の混乱をうまく表していると勝手に思ったので、引用してみたいと思います。

■交際費が経費として認められるようになった

 ガソリン税や地方道路税ばかりに目が奪われていた税制改正案だが、とんだ「ハプニング」が潜んでいた。

 3月31日に失効したのは間違いありませんが、それをもって、4月1日から、「交際費等の損金不算入なんてそんなの関係ね〜」というのは、ガソリン税の話とごっちゃにしすぎではないでしょうか。


交際費は、開始事業年度ベース

 事業年度開始ベースの交際費等の損金不算入制度は、3月決算法人以外は、普通なら、4月もまだこの規定は生きているので、いきなり4月1日から経費として認められるとは限りません。

租税特別措置法61条の4(交際費等の損金不算入)
 法人が平成18年4月1日から平成20年3月31日までの間に開始する各事業年度(清算中の各事業年度を除く。)において支出する交際費等の額(当該事業年度終了の日における資本金の額又は出資金の額(資本又は出資を有しない法人その他政令で定める法人にあつては、政令で定める金額)が1億円以下である法人については、当該交際費等の額のうち次に掲げる金額の合計額)は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない
一 当該交際費等の額のうち400万円に当該事業年度の月数を乗じてこれを12で除して計算した金額(次号において「定額控除限度額」という。)に達するまでの金額の100分の10に相当する金額
二 当該交際費等の額が定額控除限度額を超える場合におけるその超える部分の金額

[参考] 平成20年3月31日までに開始する事業年度
3月決算法人:平成19年4月1日〜平成20年3月31日
4月決算法人:平成19年5月1日〜平成20年4月30日
5月決算法人:平成19年6月1日〜平成20年5月31日
6月決算法人:平成19年7月1日〜平成20年6月30日
7月決算法人:平成19年8月1日〜平成20年7月31日
8月決算法人:平成19年9月1日〜平成20年8月31日
9月決算法人:平成19年10月1日〜平成20年9月30日
10月決算法人:平成19年11月1日〜平成20年10月31日
11月決算法人:平成19年12月1日〜平成20年11月30日
12月決算法人:平成20年1月1日〜平成20年12月31日
1月決算法人:平成20年2月1日〜平成21年1月31日
2月決算法人:平成20年3月1日〜平成21年2月28日

 たとえば、12月決算法人の会社にお勤めであれば、事業年度が変わらない限り、損金不算入の規定は、今年の12月31日まで有効です。この場合、税制改正がどうなるかとは、全く関係ありません。社用族の皆様は、まず、ご自身の会社の決算期を確認しましょう。


3月決算法人も無理かもです

 税制改正案の不成立と、2008年3月31日に成立した租税特別措置にかかる適用期限を5月末まで延長する「国民生活等の混乱を回避するための租税特別措置法の一部を改正する法律」(つなぎ法案)から、「交際費の損金不算入」の特例が外れた。もちろん、近いうちに何らかの手当てが施されるのだろうが、それまでは「交際費天国」が楽しめそうだ

 たぶん、無理でしょう。

 なるほど、3月決算法人は、そうでもないんじゃないか、という反論がありそうですが、法人税の納税義務の成立は事業年度終了時点ですので、終了時にはさすがになんか法律できていると考えられます。3月決算法人は、普通なら来年の3月31日ですから、あと1年弱ありますね。

 事業年度は定款を変更すれば変えられるので、会社が無理矢理、事業年度の変更をして、4月1日始まり、4月20日終了とすれば、そういう話もあるかもしれませんが、社用族のために会社がそんな非合理的なことをするかな…。

■この1、2か月のあいだであれば大丈夫!?

 大丈夫じゃないと思います。冷静なご判断をお願いします。事業年度終了時までにできた法律に、「4月1日からの期間」と書かれていれば、アウトでしょう。


どうなるかわからないが正解

 交際費の損金不算入について国税庁は、「たしかに失効期間にあります。今後の措置については、いまのところ何とも言えません」という。

 それが現在答えられる、最も正しい回答だと思われます。

 ただ、財務省も総務省も国税庁も、所轄国税局や税務署に聞いてくださいとホームページに書くのは、混乱の元凶じゃないでしょうか…。

 ある税務署の職員は、「租税特別措置については5月末までの延長措置法でほとんど網羅されているはずです。(交際費の損金不算入については)なにも聞いていないですね。問い合わせが殺到するなど、現場が混乱していることもありません。ただ、上限(この場合、中小企業に対する400万円)があるような規定については、これまでも何らかの措置がとられてきましたから、早急に通達があると思います」と話す。

 所轄税務署にこんなことを言われたら、どうしましょう。そもそも延長措置法では、すべてが網羅されていませんし、附則ならいざ知らず、こんな重要なものを、法令ではなく通達でカバーできるわけがありません。


なぜ欠損金の話はないの?

 ちなみに、実務上、問題にするなら、ガソリン税でも交際費でもなくて、事業年度終了ベースで適用関係が決まってくる欠損金の繰戻還付の不適用の規定の方だと思うのですが、4月決算でいきなり処理を戸惑うはずなのに、あまり騒がれていませんね。

[参考] 平成20年3月31日までに終了する事業年度
4月決算法人:平成18年5月1日〜平成19年4月30日
5月決算法人:平成18年6月1日〜平成19年5月31日
6月決算法人:平成18年7月1日〜平成19年6月30日
7月決算法人:平成18年8月1日〜平成19年7月31日
8月決算法人:平成18年9月1日〜平成19年8月31日
9月決算法人:平成18年10月1日〜平成19年9月30日
10月決算法人:平成18年11月1日〜平成19年10月31日
11月決算法人:平成18年12月1日〜平成19年11月30日
12月決算法人:平成19年1月1日〜平成19年12月31日
1月決算法人:平成19年2月1日〜平成20年1月31日
2月決算法人:平成19年3月1日〜平成20年2月29日
3月決算法人:平成19年4月1日〜平成20年3月31日

 「開始」と「終了」の文字が変わるだけで、これだけ劇的にその内容が変わってしまいます。平成19年5月1日〜平成20年4月30日の事業年度をもつ4月決算法人は、4月末までに改正法案が通らなければ、事業年度終了時に不適用の法律がないという状況になりますので、欠損金の繰戻還付が適用できることになります。

法人税法80条(欠損金の繰戻しによる還付)
 内国法人の青色申告書である確定申告書を提出する事業年度において生じた欠損金額がある場合(中略)には、その内国法人は、当該申告書の提出と同時に、納税地の所轄税務署長に対し、当該欠損金額に係る事業年度(以下この条において「欠損事業年度」という。)開始の日前1年以内に開始したいずれかの事業年度(中略)の所得に対する法人税の額(中略)に、当該いずれかの事業年度(中略)の所得の金額のうちに占める欠損事業年度の欠損金額(中略)に相当する金額の割合を乗じて計算した金額に相当する法人税の還付を請求することができる。
租税特別措置法66条の13
   (欠損金の繰戻しによる還付の不適用)

 法人税法第80条第1項(同法第145条第1項において準用する場合を含む。)の規定は、法人の平成4年4月1日から平成20年3月31日までの間に終了する各事業年度(中略)において生じた欠損金額については、適用しない。(ただし書省略)



使途秘匿金は?

 なお、納税者不利になる、使途秘匿金の支出がある場合の課税の特例(措法62)みたいに、事業年度単位ではなくて、「平成6年4月1日から平成20年3月31日までの間に使途秘匿金の支出をした場合」という書き方をしているものについても、やはりその法人の事業年度終了までに改正法案が通るか否かが勝負です。

 4月29日に改正法案が通って、即日、4月1日に遡れば、4月30日に事業年度が終了する4月決算法人は、ギリギリ延長後の規定の適用を受けることになります(ああ、紙一重)。

 しかしもし、5月1日以降に通った場合には、4月30日に事業年度が終わる4月決算法人は、平成20年4月1日から平成20年4月30日に支出した使途秘匿金については、重課を行うことはできないということになります(したら遡及適用ですね)。


 30万円未満の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例(措法67条の5)の規定も平成20年3月31日までに取得・事業供用したものが対象ですが、こちらは、納税者有利の規定なので、遡って救済規定を設ける可能性が高いように思います。


これが正常?

 いろいろ書きましたが、最終的にどうなるかは、わかりません。

 最初から暫定税率関係とその他の法律案を分けたり、つなぎ法案に開始事業年度ベース以外の規定を入れとくとか、いろいろ工夫しておけばよかったのに…。今年の税制改正は、政府側がどんどん後手に回り、さまざまな問題を生ずると思われます。


 そもそも当たり前のように改正法案が通っていたときの方が、異常だったんでしょうね。きっと。


 *関連記事*
どうなる交際費と30万円未満(改訂増補版)


今後ともよろしくお願いします!



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双葉更新履歴
 [2008/04/09 初投稿]



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この記事へのコメント

2. IKE    2008年04月14日 23:47
そうですね。税制改正も混乱してますが、
リースも会計処理をどうするか、混乱して
いたりして…
1.  kimutax@税金まにあ    2008年04月12日 11:35
今回の混乱は、ほんと困ったもんですが

>そもそも当たり前のように改正法案が通っていたときの方が、異常だったんでしょうね。きっと。

うんうん。これをきっかけに、税制改正のあり方が変わることを期待します。個人的には、大綱が出る前の時期、もっとガラス張りであってほしいです。

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