2007年11月15日

なぜ租税特別措置法はこんなに量が多いのですか?

Q. なぜ租税特別措置法はこんなに量が多いのですか?

A. 政治家・官僚・財界が都合のいいようにつくった結果です。


措置法は誰のためのもの?

「モミジさん、試験勉強していると、ときどき思うんですが、措置法って、毎年コロコロ変わりますよね( -д-)」
「そりゃ措置法はある政策を実現するためにつくられる時限法だから、生まれた瞬間から死ぬ時期が決まってるせいね」
「それにしても、複雑ですよね。中小企業向けやIT・人材育成を除けば、なんか誰が使うんだろうって内容ばかりですよね。まぁ、勉強する範囲が狭いからいいですけど」

「あら、気づいてないみたいだけど、いいこと言ったわね」
「え? 何がですか?」
「措置法は誰が使うのか、もっといえば、措置法で誰が得をするのかってことね」
「あそっか、措置法って減税項目が多いんですよね(´∀`)」

「結論から言えば、措置法は与党(政治家)にとっても各省庁(官僚)にとっても大企業・業界団体(財界)にとっても美味(おい)しい法律なのね。ちなみに、政・官・財のことを鉄のトライアングルともいうわね」
「鉄のトライアングルですか・・・」
「まぁ、癒着(ゆちゃく)してるってわけね」


国民のために税制改正は行われていない!

「日本で一番複雑な法律は、では法人税法、では租税特別措置法だと私は勝手に思ってるの」
「質? 量?」
「法人税法が複雑なのは、経済取引が国際化や電子化で複雑になったせいね。法人税法自体の背景や、そもそもの経済取引の内容、そして会社法や企業会計基準を知らないと本当の意味で理解できないという点で、質的ということね。あ、でも、別に優劣じゃないわよ。あくまで複雑さという観点だから」
「はぁ(´・ω・`)」

「それに対して措置法は、量的な複雑さね。これは中身が難しいんじゃなくて、ボリュームが大きいだけなんだけど」
「それはなんとなくわかります。68条の85の3とか、なんか枝番がめちゃくちゃになってますよね」
「措置法の数だけ、誰かが得してるってわけね。逆に、ある特定の人を狙い撃ちする役目もあるけど、今回はその話は省略するわね」

「でね、政治家の立場からみると、措置法はとてもうまみがある制度なのよ」
「どうしてですか?」
「じゃあ逆に聞くけど、法人税率30%を20%にするのと、ある特定の団体に措置法で減税できるようにするのと、どっちが簡単かしら」
「そりゃ措置法じゃないですか。・・・あ、そっか! 自分の支持団体に利益を誘導すれば、政治家として手柄を立てやすいんですね」
「そういうことね。逆に言えば、ある業界団体自分たちの利益のために、政治家にお願いするわけね」

「ふ〜ん。でも、政治家は何か得するのかな」
「そりゃ、しかないじゃない。まぁ、政治献金でもいいけど」
「あそっか!」

「さらに忘れちゃいけないのが官僚ね」
「官僚は、何か得するのかな」
「最近は、国家財政が大変だから、各省庁が出せる補助金がどんどん削られているのね。でも、○○省の官僚が、措置法である業界団体に対して便宜を図れば、補助金と同じ効果が生まれるのよ」
「なるほど! お金を渡さなくても、減税すればいいんですね」

「それに、財務省にとっても、税率を30%から20%にしようと思ったら、いろんな人に了解とったり、他の税収を増やさないといけないってことで大変だけど、ある業界団体だけにピンポイントで減税したって、たかがしれてるし、たいていの人は、そもそも他の団体がどうなろうがあまり興味ないじゃない」
「なんかモミジさんが言いたいことがわかりましたよ。官僚にとっては、仕事がしやすいってことですね。それに、便宜を図ったその業界団体には、官僚がそのまま天下りしてるんですよね…」

「悲しいことだけど、そのしわ寄せが国民に来ているから、配偶者控除の廃止なんてことが、平気で行われようとしているのね」
「定率減税の廃止といい、文句を言っても聞いてくれないところを真っ先に狙うんですね…」
「昔から、正直者がバカを見るのは変わらないわね」


税制改正は変わるのか

「でも、今年は民主党が参議院の第1党になったせいか、いつもと雰囲気がちがいますよね」
「そうなのよ! 消費税の増税とか、そういう中身の話も大事だけど、プロセスがこれだけ重視される税制改正も日本史上初かもしれないわね」
「そんなに大事件なんですかΣ(・ω・ノ)ノ」

「自民党と財務省と財界がしゃんしゃんと決めて、措置法だけの改正が繰り返されている頃も見てきているから、余計にそう思うのかしらね。公明党が自民党税調をけん制するために勉強会を発足するなんて、面白いできごとなのよ」
「そうなんですかぁ」
「さぁ、これからが税制改正の本番よ」
「はい(・◇・)ゞ」


平成20年度改正は、時代の変わり目になれるのか

 法人税制史をみると、高度経済成長期からバブル景気という時代区分は、まさに措置法の時代といっても過言ではないでしょう。自民党・財務省・財界が密室の中で決定していた時代です。

 *関連記事*
高度経済成長期〜バブル景気[昭和36年〜平成元年]

 法人税法と所得税法は1965(昭和40)年に全文改正を行いましたが、その後の期間では、措置法の改正ばかりが行われ、本法(法人税法や所得税法)はできるだけ触らないという状態だったため、多くの面で矛盾を生じていたようです(正確にはシャウプ勧告の数年後からそういう状態は続いていました)。

 平成に入ってからは、バブル崩壊もあって、いろいろな改正が行われていますが、これは、高度経済成長期から比べると、本法に立ち入った、大改正ばかりといえるのかもしれません。


 この記事は、調べ物のお役に立てましたでしょうか。
お読みいただきありがとうございます!


 *関連記事*
租税特別措置法
http://taxotak.livedoor.biz/archives/50236279.html
主要関係団体からの税制改正要望
http://taxotak.livedoor.biz/archives/50399387.html


双葉更新履歴
 [2007/11/15 初投稿]



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この記事へのコメント

7. IKE    2007年11月16日 21:30
消費税用貯金箱は、私も顧客に実際につくっていただいていました。
でも預かっているようにみえて、実は預かっていない部分も少なからずあるのではないかと思う今日この頃です。
6. どや    2007年11月15日 22:22
消費っていう名前がねぇ・・・
(ーー;)
預り金的性格っていうのもねぇ・・・
と、私は常々思ってしまいます。

お役所さんには
消費税用に貯金箱作れ
と、有難いお言葉をよくいただきます。
(ーー;)
5. IKE    2007年11月15日 16:05
(つづき)

というわけで、消費税率ではなくて、「法人税率」をあげた方がいいように思います。

その際には、役員給与などおかしな制度をすべてもう一度見直してからですね。少なくとも、繰越欠損金の繰戻還付制度は復活させるべきであると考えます。
4. IKE    2007年11月15日 16:03
木村さんへ

そもそも論なのですが、消費税って、本当に消費に対して課税されているのでしょうか。

消費税法をみると、納税義務者は「事業者」、課税の対象は「資産の譲渡等」となっていますし、法人税は大赤字なのに、消費税の納付で首が回らないというところも多いです。形式も実態もまるで「外形標準課税」じゃないかと感じています。

売上に転嫁できない中小企業者(個人事業者を含めて)にとっては、これほど不合理な税制はないのではと思います。

少なくとも、10%以上になったら、消費税で廃業する個人事業者や会社がたくさん出てくるような気がするのですが、そのことについてあまり声が上がらない点もおかしいなと思うところです。
3. IKE    2007年11月15日 15:45
DOOR5296さんへ

いっそ思いっきり下げて、軽課税国(タックス・ヘイブン)にしてみるというプランもありますね。
先進国なのに、後進国のような戦略をとることで、魅力的な土俵がつくれそうです(皮肉)。

所得税の計算構造を厳しくして消費税率を上げておきながら、法人税率を下げるのは国民の理解を得ないことは共通認識なのに・・・。

一度言ったことは引っ込められない方がいるのは困ったことです。
2.  kimutax@税金まにあ    2007年11月15日 10:44
福田さん、結局消費税アップなしだそうで…。

解散総選挙もアリとふんでのことでしょうね。

こんな調子じゃ、いつまでたっても、財政や税についてまっとうな議論ができない!

腰抜けめ〜(>_<)
1. どや    2007年11月15日 08:54
まぁ・・・

諸外国に比べて、法人税等の実効税率が
あまりにも高いんでしょうなぁ。
(ーー;)

何をもって、高いって仰っておられるのか
私には、わかりませんが!!

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