2008年01月15日
「組織再編成税制」について知りたい方へ
ここでは、法人税法における組織再編成税制を中心にいろいろな疑問について検討していきたいと思います。
(注)繁忙期と試験を乗り切るため、8月以降まで連載を一時中断します。
(注)繁忙期と試験を乗り切るため、8月以降まで連載を一時中断します。
商法(会社法)、企業会計基準との関係
歴史を知るというのは、非常に重要なことです。法律が現在の姿になるまでには、必ず紆余曲折があります。決して、ある日突然現れたということはありえません。
法人税法を語るにあたり、ぜひおさえていただきたいのが商法・会社法、企業会計基準との関係です。組織再編成税制を含めて、この10年ばかりの間に大改正が次々に行われてきました。大改正が行われてきたのは、今までの制度にたくさんの矛盾があったことが、国際化や電子化で経済取引が高度に複雑化する中で、見直さざるをえなくなったためです。
年表形式で整理していますので、参考資料としてご活用ください。
0-1 なぜ法人税法は難しくなったのですか?
歴史的背景
組織再編成税制は、もともと予定されていない制度でした。当初は組織再編成よりも何より、連結納税制度を優先すべきだという風潮がありました。
理由は、バブル崩壊です。金融市場のパニックにより大手証券会社が倒産し、土地神話を盲信していた大手銀行が多額の不良債権を抱え、ボロボロになりました。
また、大企業も日本型の経営が通用しなくなり、外資系企業に市場を脅かされることとなりました。
その状況を打開するために、持株会社という「戦略を考えるだけの会社」をつくれるようにしたり、本当に強い事業のみを「選択し集中」できるように、株式交換・株式移転、会社分割、連結納税制度という制度の整備が次々に実現していきました。
1-1 なぜ組織再編成税制は難しいのですか?
1-2 なぜ組織再編成税制が創設されたのですか?
1-3 『金融ビッグバン』とは何ですか?
1-4 『持株会社』とはどのような会社ですか?
1-5 持株会社は税制とどのような関係があるのですか?
1-6 なぜ『会社分割』が必要なのですか?
1-7 なぜ『連結納税制度』が導入されたのですか?
M&A&D
M&Aという言葉はよく聞きますが、実はM(合併:Merger)とA(取得:Aquisition)のほかにD(分割:Divestitution)があります。
1-8 M&Aの『M』と『A』は何をさしていますか?
創設趣旨
商法改正によって、会社分割制度が導入されることとなり、分割に対する税制も必要になりました。
しかし合併と現物出資(変態現物出資とも呼ばれる事後設立も含む)と似たところが多いことから、単に会社分割の税制をつくるだけでは対応しきれないという結論になりました。
会社分割の税法上の考え方は、合併に似た分割(分割型分割)と現物出資に似た分割(分社型分割)と言い表されます。
分割型分割は、株主からみると、自分がもっている株が2つに分割したようにみえますし、全部を分割して自分は消滅してしまえば、合併とほぼ同じ経済的実態になります。分社型分割は、分社化、つまり子法人をつくるもので、現物出資とほぼ同じ経済的実態になります。
会社法では、新しく会社をつくるか、それとも既にある会社にくっつけるかという観点で分割を手続きで分類していますが、法人税法では、租税回避を防ぐために、分割型分割なのか、分社型分割なのかという経済的実態で分類しています。
2-1 なぜ組織再編成税制という大きな話になったのですか?
2-2 なぜ分割は『分割型』と『分社型』にわかれるのですか?
2-3 なぜ『分割型』と『分社型』という名前なのですか?
2-4 分割に対する会社法と法人税法のちがいはどこですか?
2-5 なぜ『事後設立』も見直されたのですか?
被合併法人等(引渡し側)の取扱い
法人税法62条から始まる62条シリーズ(ここでは62条から62条の5まで)は、『被合併法人等の課税関係』をあらわしています。
組織再編成は、資産が移転します。このとき移転とは、「行為」をあらわしています。それをどう「認識」するかによって、課税関係が変わります。
原則は譲渡です。これは普通に資産を第三者に売ったのと同じものと考えるため、時価で譲渡され、譲渡損益が生じます(非適格組織再編成の共通の考え方です)。
ただし、適格要件を満たせば、それは再編前と再編後で資産に対する支配は変わっていないことから、適格合併と適格分割型分割は『簿価による引継ぎ』として、適格分社型分割・適格現物出資は『簿価による譲渡』として、課税を繰延べています。
同じ適格組織再編成でも「引継ぎ」と「譲渡」としているように、認識の仕方が異なるのは、支配関係が「連続して続くもの(引継ぎ)」と「一度支配関係が切れるもの(譲渡)」があるからです。
ちなみに、適格事後設立は、金銭等の交付があるので、一度は時価で譲渡します。しかし現物出資の代わりに利用されると租税回避もできてしまうので、あとで簿価に「修正」することで、適格現物出資の簿価譲渡と同じような経済的実態になるようにしています。
3-1 組織再編成税制の一番の特徴は何ですか?
3-2 『原則時価譲渡』はどこに書いてあるのですか?
3-3 法人税法22条と62条のちがいはどこですか?
3-4 『引継ぎ』と『譲渡』のちがいは何ですか?
3-5 なぜ適格合併は『引継』と『引継』なのですか?
3-6 なぜ適格現物出資は『引継』ではないのですか?
3-7 なぜ事後設立は帳簿価額の『修正』なのですか?
3-8 なぜ法人税法62条は『分社型分割』も対象なのですか?
3-9 なぜ原則時価課税が認められたのですか?
消費税
組織再編成税制の話は、法人税法の話です。消費税など他の税法では、組織再編行為を行った場合に、それぞれ異なる取扱いをします。たとえば消費税では、合併や分割は非適格・適格に関わらず、非課税です。現物出資や事後設立は、課税の対象になるものもあります。
3-10 適格なら『消費税』も非課税ですか?
適格要件
適格要件を満たせば、強制的に適格組織再編成となります。決して選択性ではありません。
金銭等の交付がある場合には、普通の資産の売買と同じなので、非適格組織再編成となります。
金銭等の交付がない場合に、50%超の持分関係にあるグループ再編や持分関係はなくても共同事業再編であれば、適格組織再編成となります。これは、資産に対する支配が、再編の前後で変わらない要件とは何かを考えたときに、「会社の支配(グループ再編)」と「事業の継続(共同事業再編)」という2つの基準を考えたからです。
4-1 なぜ『金銭の交付』があると非適格なのですか?
4-2 なぜ100%と50%超に分かれているのですか?
4-3 なぜ共同事業を行う場合も適格性が認められるのですか?
法人株主の取扱い
組織再編成税制は、平成13年度税制改正で行われたといわれますが、実際には、その前年度の平成12年度税制改正で有価証券の譲渡の考え方を変えたことから始まっています。
これにより法人税法61条の2は単なる有価証券の処理にとどまらず、組織再編成における法人株主の関係を表す規定であることが明確になりました。
5-1 なぜ平成12年度税制改正が重要なのですか?
5-2 法人税法61条の2はどのような規定ですか?
5-3 法人税法61条から61条の13はどのような規定ですか?
5-4 どのようなときにみなし配当が生じますか?
5-5 どのようなときに株式の譲渡損益課税が発生しますか?
資本の部の取扱い
法人税法62条〜62条の5は、『被合併法人等の課税関係』ですが、正確に言えば、『資産の部と負債の部』に関する課税の仕方を教えてくれます。
では、資本の部はどうなったかといえば、これも平成13年度税制改正で、問題がある箇所も含めて抜本的な見直しが行われ、税務上の貸借がきちんと合うようになりました。
これにより、それまで租税回避に使われていた規定も、取り扱いが不明だった規定も減少しました。
6-1 なぜ平成13年度税制改正で資本の部を変えたのですか?
6-2 なぜ純資産の部ではなくて資本の部なのですか?
6-3 剰余金の配当とは何ですか?
6-4 現物配当とは何でですか?
6-5 自己株式の取扱いはどうなりましたか?
6-6 利益積立金額の規定はどうなりましたか?
6-7 なぜみなし事業年度があるのですか?
合併法人等(受入れ側)の取扱い
『被合併法人等』と『法人株主』の取り扱いはすでに述べたとおりですが、もう1人の登場人物が、合併法人等です。
法人税法62条シリーズでは、この合併法人等の取り扱いには触れていません。たとえば棚卸資産なら棚卸資産の規定の中に、貸倒引当金なら貸倒引当金の規定の中に、合併法人等の取り扱いが示されているので、法人税法全体に、分散して存在しています。
7-1 資産の譲渡・引継ぎはどのような処理をしますか?
7-2 みなし損金経理とは何ですか?
欠損金と含み損の引継ぎ
青色繰越欠損金とは、過去の損失です。それに対して含み損は、未来の損失です。いずれも租税回避に使われる可能性が高いことから、法人税法57条と62条の7で、その実現が制限されています。
もともと青色繰越欠損金や含み損をもつグループ外の法人を利用した租税回避を防止する規定ですが、グループ外に関わらず、たとえグループ内であっても、要件に該当すればその実現が制限されてしまいます。
8-1 なぜ合併法人等は青色欠損金を引き継げるのですか?
8-2 なぜ欠損金の実現に制限が設けられているのですか?
8-3 なぜ含み損の実現に制限が設けられているのですか?
のれんと引当金の引継ぎ
のれんと引当金は目に見えない資産・負債です。法人税法62条の8は、そんな目に見えない資産・負債のうち、組織再編成で引き継げないものを、合併法人等で「認識」するための規定です。
9-1 貸倒引当金の引継ぎはできますか?
9-2 資産調整勘定は資産ではないのですか?
株式交換・株式移転と連結納税制度
株式交換・株式移転と連結納税制度は、合併等の組織再編成と同じような考え方で、税制がつくられています。適格要件を満たさない株式交換や株式移転は、子法人で資産を時価評価しないといけませんし、連結納税を開始するときや途中で加入するときにも資産を時価評価することが前提になります。
10-1 なぜ時価評価するのですか?
[2007/11/07 初投稿]
[2007/11/17 明確化ver2.0]
[2008/02/21 レイアウト変更ver3.0]


