2007年10月25日
応用編:適格があれば非適格もある(その1)
あれ?もしかして非適格の場合もあるのですか?
あります。もう1つ検討が必要です。
適格があれば非適格もある
国税庁の質疑応答事例のプロセスは、実践編ですでに述べた通りです。
解釈の5段階(実践編)
(その1) 事実を確認する
(その2) 問題点を見つける
(その3) 適用条文を探す
(その4) 具体的に適用する
(その5) 立法趣旨を知る
しかし実はこれだけでは、半分のことしか言っていないことが、その後に出された日本税理士会連合会のお知らせをみると、わかります。
■日本税理士会連合会 平成19年6月(お知らせ)
組織再編成に係る合併法人等が改正事業年度終了の時における資本の金額が1億円超の法人である場合には、退職給与引当金を引き継げない。
組織再編成が法人税法第62条の8第1項(非適格合併等により移転を受ける資産等に係る調整勘定等の損金算入等)に規定する非適格合併等に該当する場合には、退職給与引当金を引き継げない。
前者は、国税庁の質疑応答事例のことを言っています。では、後者は、どういうことを言っているのでしょうか。もとをたどってみると、平成18年度改正で四号(資本金額1億円超の合併法人等に退職給与引当金を引き継がせない)とともに追加された、五号の規定にたどり着きます。
法人税法施行令/改正法令附則(平成一四年八月一日政令第二七一号)
第5条(退職給与引当金に関する経過措置)
1〜10 略
11 改正法附則第八条第五項に規定する政令で定める要件は、次に掲げる要件とする。
一〜三 略
四 組織再編成に係る合併法人等が改正法附則第八条第二項の表の第二号に掲げる法人でないこと。
五 組織再編成が所得税法等の一部を改正する等の法律(平成十八年法律第十号)第二条の規定による改正後の法人税法第六十二条の八第一項に規定する非適格合併等に該当しないこと。
12・13 略
つまり、その組織再編成が「法人税法第62条の8第1項に規定する非適格合併等」に該当した場合には、やはり税法上の退職給与引当金が引き継げないということになります。
では、「非適格合併等」とはなんでしょうか。法人税法第62条の8第1項の規定を見てみましょう。
法人税法62条の8
(非適格合併等により移転を受ける資産等に係る調整勘定の損金算入等)
1 内国法人が非適格合併等(適格合併に該当しない合併又は適格分割に該当しない分割、適格現物出資に該当しない現物出資若しくは事業の譲受けのうち、政令で定めるものをいう。以下この条において同じ。)により・・・(以下略)
油断すると「又は」が何と何とを連結しているのかを間違えてしまいそうですが、よく読んでみれば、「A」又は「B、C、Dのうち〜なもの」という構造になっていることがわかります。
適格合併に該当しない合併
又は
適格分割に該当しない分割、
適格現物出資に該当しない現物出資
若しくは事業の譲受けのうち、政令で定めるもの
すなわち、分割等については、「政令で定めるもの」と限定しているため、法人税法施行令も同時に確認してみましょう。
法人税法施行令123条の10
1 法第六十二条の八第一項 (非適格合併等により移転を受ける資産等に係る調整勘定の損金算入等)に規定する政令で定めるものは、適格分割に該当しない分割、適格現物出資に該当しない現物出資又は事業の譲受け(以下この項において「非適格分割等」という。)のうち、当該非適格分割等に係る分割法人、現物出資法人又は移転法人(事業の譲受けをした法人(以下この項において「譲受け法人」という。)に対して当該事業の移転をした法人をいう。次項において同じ。)の当該非適格分割等の直前において営む事業及び当該事業に係る主要な資産又は負債のおおむね全部が当該非適格分割等により当該非適格分割等に係る分割承継法人、被現物出資法人又は譲受け法人に移転をするものとする。
2 法第六十二条の八第一項 に規定する政令で定める法人は、事業の譲受けに係る移転法人とする。
「事業又はその事業に係る主要な資産・負債のおおむね全部」が移転することが要件のようです。逆に言えば、適格分割に該当しない分割であっても、この要件に当てはまらなければ、非適格合併等とはいえないことがわかります。
長々と法令を引用してしまいましたが、適格要件を満たさない非適格組織再編成のうちの一部(非適格合併と、非適格分割等のうち一定要件を満たすもの)を、法人税法62条の8の1項では、「非適格合併等」と呼んでいるわけです。
そして、五号は、この非適格合併等を行う場合に、税法上の退職給与引当金を合併法人等に引き継がせないと言っているのです。
どうして五号を追加したのですか?
そのために、法人税法62条の8を見てみましょう。
解釈の5段階(応用編)ここからが本番です。
(その1) 適格があれば非適格もある
(その2) 主語に気をつけろ
(その3) 強制的か選択制か
(その4) 申告書を出す前に
(その5) パターン化してみると
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[2007/10/25 初投稿]


