2007年09月22日
バブル崩壊後[平成2年〜現在]
(バブル崩壊後[平成2年〜現在])
| 1990/平成2 | 輸入促進税制を創設
法人税率を37.5%に引下げ(抜本改正本則税率) |
| 1991/平成3 | 地価税 湾岸戦争勃発 バブル崩壊 |
| 1992/平成4 | 欠損金の繰戻還付の適用停止
(昭和59年から平成4年まで同様の措置あり) 過少資本税制の創設 |
| 1993/平成5 | 新総合経済対策に伴う投資促進税制を創設
自民党が野党となり、55年体制が崩壊する |
| 1994/平成6 | 使途秘匿金課税を創設 |
| 1995/平成7 | 阪神淡路大震災が起こる
地下鉄サリン事件が発生 ウィンドウズ95が発売 |
| 1997/平成9 | 消費税等の税率を国4%+地方1%に引上げ |
| 1998/平成10 | 法人税率を34.5%に引下げ
特定非営利活動促進法の施行(NPO法人) 資産の流動化に関する法律の施行(SPCなど) 投資事業有限責任組合契約に関する法律の施行 山一證券が自主廃業する |
| 1999/平成11 | 負担軽減措置法により特別税率となる
法人税率を30%に引下げ 恒久的減税として定率減税が導入される |
| 2000/平成12 | デリバティブ税制による時価主義の導入
株式交換・株式移転制度の創設 |
| 2001/平成13 | 企業組織再編成税制の創設
中央省庁再編、大蔵省→財務省と金融庁に |
| 2002/平成14 | 連結納税制度の創設 |
| 2003/平成15 | 相続時精算課税の創設 |
| 2004/平成16 | 国税電子申告・納税システム(e-Tax)サービス開始
法人事業税に外形標準課税を導入 欠損金の繰越期間を5年から7年に延長 不動産登記法(明治32年法律第24号)の全文改正 |
| 2005/平成17 | 定率減税の半減
有限責任事業組合契約に関する法律(LLP) |
| 2006/平成18 | 役員給与制度の見直し
特殊支配同族会社税制の創設 所得税の税率構造を5%〜40%の6段階に見直し 定率減税の廃止 会社法の施行(有限会社法が廃止) 合同会社(日本版LLC)制度の創設 株式交換・株式移転が法人税法へ ライブドアショック |
| 2007/平成19 | 減価償却制度の大改正
三位一体の改革による国から地方への税源移譲 三角合併税制 信託法(大正11年法律第62号)の全面改正 証券取引法が金融商品取引法に改題 日本郵政公社→4つの株式会社に分割・民営化 |
| 2008/平成20 | 公益法人制度改革3法が施行(中間法人法が廃止)
工事進行基準の範囲の見直し 新しいリース税制の施行 格差是正のために地方特別法人税が創設 |
| 2009/平成21 | ・・・ |
バブル崩壊と地価税
バブル景気を支えていたのは、異常ともいえる土地を含む資産の高騰でした。国土が狭い日本で人口が増加し続ければ、土地の価格は自ずと上昇するのは必然でしたが、「土地は必ず値上がりする」という土地神話を具現化するような地価高騰は、株価に連動し、1989(平成元)年12月29日に38,915円87銭の最高値をつけました。そして1990(平成2)年、株価の暴落が起こり、バブル崩壊が始まりました。
1991(平成3)年、過剰な土地への投機を抑制するために、地価税が創設されましたが、すでにバブル崩壊は始まっていたため、1998(平成10)年に凍結されました。
また、同年、湾岸戦争の平和回復活動のために、法人臨時特別税が1992(平成4)年まで設けられました。
法人臨時特別税は、湾岸地域における平和回復活動を支援するため平成2年度において緊急に講ずべき財政上の措置に必要な財源の確保に係る臨時措置に関する法律により創設されたもので、その第4章において23か条にわたり、納税義務者、税率など所要の事項が規定されています。
『平成3年度版 改正税法のすべて』p.260
消費税
平成元年から始まった消費税(3%)は、導入前もそして今日に至っても、政治的に非常に難しい税目です。1994(平成6)年、自由民主党に代わって政権をとった細川内閣で、国民福祉税構想(7%)を出したところ、世論の反発にあい、即日撤廃しました。
1997(平成9)年に、消費税(4%)と地方消費税(1%)の5%に税率を変えたときも、当時の橋本内閣はその後の衆議院議員選挙で敗れました。消費税は鬼門と呼ばれる由縁となっています。
景気対策と税制
1999(平成11)年に、「恒久的」減税として、定率減税が創設されました。当初は景気対策として税率を下げることが案として上がりましたが、それでは減税が固定化してしまうため、上限をつけて一定額を税額控除する定率減税となりました。
しかしこれは、2005(平成17)年に半減され、翌年には廃止されてしまいました。恒久的減税の「恒久的」とは何か、という議論が創設当初からありましたが、結果から言えば、「的」の一文字を入れたことによって、その後の半減・廃止が実現したといえるでしょう。
税制については、わが国の将来を見据えたより望ましい制度の構築に向け、抜本的な見直しを展望しつつ、景気に最大配慮して、六兆円を相当程度上回る恒久的な減税を実施いたします。
[引用] 第百四十三回国会における小渕内閣総理大臣所信表明演説
法人税法の抜本改正
法人税法は1965(昭和40)年の全文改正以降、その体系はほぼ変わっていませんでした。しかし独占禁止法が改正され、純粋持株会社(ホールディングスなど)の設立が可能になり、商法改正により、自己株式(いわゆる金庫株)の取得が解禁され、株式交換・株式移転制度の導入や会社分割制度の創設、そして会計基準の整理により、税制においても対応が求められました。
2000(平成12)年には租税特別措置法において株式交換・株式移転に係る税制上の取扱いが明確になりました。
商法上の会社分割に対応する税制のみを当初は2001(平成13)年で整備する予定でしたが、会社分割にはそれまでの税制上の合併と現物出資に実質的に同じ類型(分割型分割と分社型分割)があることから、会社分割だけではなく、合併、現物出資、事後設立(事後設立は変態現物出資で、現物出資と経済的実質が似ている)を含めて、企業組織再編成税制の整備が行われることになりました。
これにより、企業組織再編成は、原則は時価譲渡ですが、一定要件(=適格要件)を満たせば、簿価譲渡(適格合併と適格分割型分割は簿価引継)を行うことができるという大改正が行われました。株式交換と株式移転についても、平成18年改正で租税特別措置法から法人税法に移され、適格要件が明定されました。
このような考え方が採られているのは、組織再編成による資産等の移転が形式と実質のいずれにおいてもその資産等を手放すものであるときは、その資産等の譲渡損益の計上を求め、他方、その移転が形式のみで実質においてはまだその資産等を保有しているということができるものであるときは、その資産等の譲渡損益の計上を繰り延べることができると考えられることによるものです。
『平成13年度版 改正税法のすべて』p.134
また、経済のグローバル化が進む中で、企業グループを一体化する連結納税制度が2002(平成14)年に導入されました。これについても企業組織再編成税制の影響を受け、連結導入時や連結加入時に、合併等との整合性から、一定の資産について時価評価を行うなど、日本独自の規定になっています。
方向性の転換?
商法改正や企業会計基準の明確化に並行して行われた2000(平成12)年の時価主義の導入から、2002(平成14)年の連結納税制度に至る過程は法人税法の抜本的改正の連続でしたが、2004(平成16)年から改正の手が緩んだのか、2006(平成18)年には悪評高い特殊支配同族会社の業務主宰役員給与の損金不算入制度の導入や役員給与の原則損金不算入化といった中小企業者を中心にした課税強化や、信託法改正に対する法人課税の混迷など、ここ数年の税制改正では実務家が混乱するものになっている印象を受けます。
最初に政策があって、それに対して法律がついていくという戦後の高度経済成長期に回帰した改正となっているように思われます。
法人とは何か?の時代
また近年、法制の見直しが行われ、株式会社に限らず、SPC、REIT、LLP、LLC、組合、信託などのビークルが国内・国外を問わずさまざまな経済活動で利用されています。日本以外の国では、構成員課税(パススルー)をとる法人がありますが、日本では、法人を構成員課税するという前提がないことから、歪んだ制度となっています。
法人とは何か、という本質的な問いに回帰しつつ、これらのビークルに対する税制の整備も今後の課題となっているといえます。
他の時代を読む
■幕末〜明治維新[〜明治5年]
■富国強兵〜日清戦争[明治6年〜明治31年]
■日露戦争〜第一次世界大戦[明治32年〜大正8年]
■日中戦争[大正9年〜昭和14年]
■太平洋戦争〜終戦直後[昭和15年〜昭和24年]
■GHQ占領下[昭和25年〜昭和35年]
■高度経済成長期〜バブル景気[昭和36年〜平成元年]
■バブル崩壊後[平成2年〜現在]
■日本税制史&法人税制史
[2007/09/22 初投稿]
[2008/02/29 レイアウト変更]


