2008年07月11日

税制改正と予算編成の流れ(平成20年度版)

税制改正と予算編成はどのようにして行われているのか

 毎年行われている税制改正・予算編成を、平成20年度改正に焦点をあてて整理しています。

 夏は予算編成の話が中心となり、裏では各省庁・各関係団体からの税制改正要望が集まります。そして、8月末に概算要求が締め切られると、主計局の主査たちは予算を削減しに駆け回ります。一方、主税局では税制改正に向けて作業が進んでいき、気づけば、秋に税制改正の話題が急に増えて、12月中ごろに税制改正大綱が発表されます。そして、冬から春までの間に、税制改正と予算編成は、慌しく、法案が閣議決定され、条文案が国会に提出され、法律として世に出ることになります。


 「予算編成(歳出)」と「税制改正(歳入の一部)」は、表裏一体をなすもので、政府の方針、各省庁や各団体の思惑などが錯綜します。そこで、あえて両方を組み入れて時系列順に並べて、その流れをご紹介することにします。税制改正・予算編成を個別に見たいときは、下記の凡例にしたがって、同じ色で囲まれた事項を読んでみてください。

 *凡例*
 :税制改正  :予算編成  :共通項目等


平成19(2007)年の出来事


1月〜
 国会答弁資料を作りながら、早くも平成20年度に向けて、各省庁の各課内では新しい施策の検討が行われる。

4月1日
 新しい会計年度が始まる。
 平成19年度改正税法のうち一部施行(他は附則に従い施行)

5〜6月
 各省庁の各課が予算要求原案を作成し、各局の総務課に提出する。

6月 6日
 「平成20年度予算編成の基本的考え方について」が財務省内の財政制度等審議会から出される。

6月19日
 「経済財政改革の基本方針2007〜「美しい国」へのシナリオ〜」(通称「骨太の方針2007」)が経済財政諮問会議でとりまとめられ、閣議決定される。

6〜7月
 各省庁の各局の総務課で予算案をチェックし、予算要求書を作成する。そして、各省庁の官房予算担当課(会計課)に提出する。

7月 1日
 平成19事務年度(07/07/01〜08/06/30)開始。人事異動の季節。

7月29日
 第21回参議院議員通常選挙
 与党の惨敗により、野党が参議院の第1党となり、ねじれ国会となる。これにより、平成20年度税制改正における消費税率の引き上げは絶望的に。

7〜8月
 官房予算担当課(会計課)でチェックをし、各省庁の正式な概算要求書を作成する。

8月 7日
 経済財政諮問会議が「20年度予算の全体像[PDF]」を取りまとめる(=平成20年度予算編成についての基本的指針となる)

8月10日
 各省庁の予算の限度額にあたる「平成20年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針について(いわゆる概算要求基準シーリング)」が出され、閣議了解される。

 以下、PDFファイル。
 ○ 平成20年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針
 ○ 平成20年度一般歳出の概算要求基準の考え方
 ○ 平成20年度概算要求基準のポイント

8月27日
 内閣改造。「政策実行内閣」と命名する

8月末頃
 自由民主党や公明党の各部会において、各省庁が概算要求・税制改正要望の説明を行い、議論・点検を行う。今年は29日、30日に集中した。各重要政策ごとに30分〜2時間程度で行われ、部会をはしごする議員も多い。政治にからむ案件がこうして事前調整される。

8月31日提出期限
 各省庁は省議を経て、財務省に概算要求書を提出する。平成20年度一般会計概算要求額は88兆9,208億円となる(過去2番目の高水準)。

 各省庁の予算要求(概算要求):財務省
 ○平成20年度一般会計概算要求額調
 ○平成20年度一般歳出の要求・要望について[PDF]

 [関連記事]
 □各省庁の平成20年度税制改正要望と概算要求

9月初旬
 財務省主計局が概算要求書をもとに各省庁の担当部局ごとに各分野を担当する11名の主計官を中心とするチームのもと、主査や係員たちが個別にヒアリングを行いながら査定を10月にかけて行う。

9月10日
 第168回臨時国会が召集される。
 野党は「税金無駄遣一掃国会」と位置づける。
 ※当初会期は62日間だったが、2度延長し、平成20年1月15日まで128日間続く。

9月25日
 新内閣誕生。「背水の陣内閣」と名づける。

9月30日
 新信託法・改正信託業法、金融商品取引法が施行される。これにあわせて、信託税制等が施行される。

10月 9〜11日
 衆議院予算委員会が行われる。
 〔主な争点〕
 ・公的年金の加入記録の問題
 ・インド洋での給油活動の継続の是非
 ・政治とカネの問題

10月22日
 安心できる社会保障・税制改革に関する政府・与党協議会の初会合が開かれる。

10月25日
 自民党税調(正副・顧問・幹事会議)が早期開始される。
 [関連記事]
 □インナー(幹部会・顧問会議)
 □総会・正副会長会議・小委員会(自民党税調)

11月13日
 公明党が「社会保障と税制改革に関する研究会」を発足する。

11月19日
 「平成20年度予算の編成等に関する建議」が財務省内の財政制度等審議会から出される。

11月20日
 政府税制調査会が答申を出す。
 「抜本的な税制改革に向けた基本的考え方
 ・例年と異なり、年度答申と中間答申の折衷的答申。
 ・配偶者控除・特定扶養控除の廃止や消費税率アップが記載。
 ・抜本的改革は平成21年度以降に持ち越される予定。

 [関連記事]
 □政府税制調査会(内閣府内)
 □年度答申と中間答申

11月26日
 自民党税調が総会を開き本格的に審議が開始する。

11月28日
 自・公の与党税制協議会が開始する。

12月 4日
 経済財政諮問会議がまとめた「平成20年度予算編成の基本方針[PDF]」が閣議決定される。

12月 7日
 「法人税基本通達等の一部改正について」や「所得税基本通達等の一部改正について」が国税庁から出される(平成19年度の法人税関係法令等の改正に対応)

12月 7日
 与党税制協議会が行われ、税制改正大綱の骨格を固める。
12月11日
 与党税制協議会が行われ、税制改正大綱の概要を固める。

12月13日
 与党が平成20年度税制改正大綱[PDF]を決定する。

12月14日
 与党が平成20年度予算編成大綱[PDF]平成20年度予算重要政策[PDF]を決定する。

12月19日
 財務省が「平成20年度税制改正の大綱」を決定する。
 ○ 平成20年度 税制改正の大綱[PDF]
 ○ 平成20年度 税制改正の概要[PDF]

12月19日
 「平成20年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度[PDF]」が閣議了解される。

12月20日
 財務省が「平成20年度予算財務省原案」を内閣に提出する。

12月24日
 内閣で「平成20年度予算政府案」が閣議決定される。

12月26日
 民主党が税制改革大綱を「次の内閣」の閣議で了承する。
 ○ 民主党税制改革大綱[PDF]
 ○ 民主党税制改革大綱のポイント[PDF]
 ○ 租税特別措置等への対応について[PDF]


平成20(2008)年の出来事


1月11日
 内閣が「平成20年度税制改正の要綱」を閣議決定する。

1月17日
 「平成20年度予算政府案」が国会に提出される。
 ※予算政府案が衆議院・参議院で審議される。

1月18日
 第169回通常国会が召集される。

 〔主な争点〕
 ・ガソリン税などの暫定税率(措置法関係)
 ・年金

1月18日
 平成20年度予算(案)が国会に提出される。

1月23日
 「所得税法等の一部を改正する法律案」が閣議決定され、国会に提出される。
1月25日
 「地方税法等の一部を改正する法律案」や「地方法人特別税等に関する暫定措置法案」が閣議決定され、国会に提出される。

2月22日
 税制改正法案の国会審議が始まる。

2月29日
 税制改正法案が衆議院を通過する。

2月29日
 予算案が衆議院を通過する。

3月28日
 平成20年度予算が成立する。

3月31日
 つなぎ法案がスピード可決される。
 ガソリン税の暫定税率など一部措置法は適用期限を迎える。

4月 1日
 新しい会計年度が開始する。
 新リース税制の適用開始。

3〜5月頃
 平成20年度税制改正に関する書籍が書店に並ぶ。

4月30日
 「所得税法等の一部を改正する法律」が国会で可決・成立する。
 「所得税法等の一部を改正する法律」が施行される。
 ※官報「平成20年4月30日付(特別号外 第9号)」で公布。

6月 4日
 民主党が「法人税法の一部を改正する法律案」を国会に提出する。

 [関連記事]
 民主党、オーナー課税廃止法案提出
 →廃案に

7月初旬以後
 大蔵財務協会より『図解 法人税』などの図解シリーズが発行される。

7月11日以後
 国税庁より平成20年度改正法令の関連基本通達が出る。

7月14日
 財務省より「平成20年度税制改正の解説」が公開される。




(注)以下は、従来の流れを書いていますが、今年度については、このようにならないことが予想されますので、今後の様子を見ながら書き換えていくこととします。

*月**日
 大蔵財務協会より『改正税法のすべて』が発行される。

*月ごろ
 中央経済社より『法人税法法規集』など平成20年6月1日現在の法令・通達集が発行される。

*月ごろ
 ぎょうせいより『税務六法』の法令編と通達編が発行される。




 *過年度の改正の流れ*
税制改正と予算編成の流れ(平成19年度改正版)
http://taxotak.livedoor.biz/archives/50217437.html



 *関連記事*
財務省主税局
http://taxotak.livedoor.biz/archives/50198291.html
財務省主計局
http://taxotak.livedoor.biz/archives/50198292.html


 更新履歴
  [2007/08/12 初投稿]
  [2007/09/11 税制改正要望&概算要求後 ver2.0]
  [2008/01/11 税制改正要綱公開後 ver3.0]
  [2008/04/30 税制改正法令公開後 ver4.0]
  以後、随時更新。



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この記事へのコメント

8. IKE    2008年01月31日 01:54
こちらこそオーダーありがとうございます^^

措置法を延長してもしなくても、国民の生活には
なんら影響ないと思います。

措置法は良くも悪くも「一部の人に対し多大な影響を与えるもの」ですので、政治家の先生方が頑張っているのも、その一部の都合の悪い人たちのためであって、決して、国民生活の混乱を回避するためではないでしょう。

例のニュースについては、今まで遡及適用について違憲としたケースはないというコメントにたまげました(>_<)

1/30「パブコメ」の記事と1/31「遡及適用」の記事が参考になるかと思われます。
7.  kimutax@税金まにあ    2008年01月30日 17:22
経営コーチブログにもコメントありがとうございます!

それにしても、租税特別措置法を延長するとかしないとか、どうなりますかね(・・;)

個人的には、例の「損益通算廃止、遡及は違憲」判決についてIKEさんが解説してくれるのを期待してたりして…(他力本願)。
6. IKE    2008年01月16日 20:34
私も非常に不本意だと思っています。
しかし、こういうときだからこそ、
税制改正とはなんなのか、ということを、
客観的に見つめていきたいと考えて、
この記事を更新しています。
結末は、どうなることやらですね。
5.  kimutax@税金まにあ    2008年01月14日 13:07
租税特別措置法の改正案

民主党は3月末までにとおさないと言ってるし
与党は衆院再可決すると言ってるし。

どうもこのままだと、ガソリンまずは4月1日からダウン、その後再びアップってことになりそうですね。

どうも、民主党は、
ガソリンが再び値上がりする→国民が与党に反感を抱く→解散選挙
という絵を描いてますね。税法が政争の材料になってしまっているようで、非常に不本意です。
4. IKE    2007年11月26日 02:23
わざわざご連絡ありがとうございます。
3月ですか・・・。
今のところ参加できる定かではありませんので、
保留とさせていただきます。
3.  第5回税務会計系ブロガーサミット    2007年11月21日 21:25
記事本文と関係ないコメントで申し訳ありません。 第5回税務会計系ブロガーサミットを来年(2008年)3月22日に北海道札幌市で開催します!詳細につきましては、当方のブログをご覧下さい。 時計台!ジンギスカン!味噌ラーメン!やっぱ札幌っしょ! 是非!ご参加下さい( ̄ー ̄)vニヤリッ
2. IKE    2007年08月14日 21:16
木村さん、ありがとうございます^^
その言葉だけでもとても自信になりますが、紹介までしていただければ、TAXOTAKとして光栄です。このコメントだけでも十分ですので、無理しないでくださいね。

私の仕事自体が「調べる」ことだったりするので、その中で気になった記事を残して、あとで編集しています。…しかしあまりはまりすぎると税理士試験の勉強が進まないので、気をつけてますが(^^;)

ともあれ、「早く税理士になりたい!」ですね。またがんばります。
1.  kimutax@税金まにあ    2007年08月14日 14:58
この記事は素晴らしいですね(19年度版とあわせて)。
私の中では、今年いろんなブロガーさんの記事を見た中で、5本の指に入る素晴らしい記事だと思います。

近いうちに私のブログで紹介させて頂いてよろしいでしょうか?。。。と、言いましても、私(>_<)最近いそがしくて、ブログのネタは溜まる一方なのです…ああ、更新する時間がほしい。。。なので、ご紹介は気長にお待ちくださいませ!

それにしてもIKEさんは、お忙しい中、よくこれだけのことを調べて、かつ、記事にされてますよね。税理士になったあかつきには、素晴らしい論理派の税理士になりそうです!

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