2007年09月26日

第1条は趣旨でできている(趣旨規定と目的規定)

Q. 第1条は何をあらわしていますか?

A. その法律の「趣旨」や「目的」をあらわしています。


趣旨か目的から始まります

 法律の1番最初に登場する第1条は、ふつう、「趣旨規定」または「目的規定」が置かれることになります。


 趣旨規定は、見出しが「(この法律の趣旨)」や「(趣旨)」となっていて、目的規定は、「(この法律の目的)」「(目的)」となっていることがほとんどです。

 法令を読む側にとっては助けとなるもので、その法令がどういう法令で他の法律などとどういう関係があるのか(=趣旨規定)、どういう目的でこの法令が存在するのか(=目的規定)を教えてくれるまとめ(要約)なのです。


法人税法第1条を読んでみましょう

 それでは、実際に第1条を読んでみましょう。

法人税法第1条(趣旨)
 この法律は、法人税について、納税義務者、課税所得等の範囲、税額の計算の方法、申告、納付及び還付の手続並びにその納税義務の適正な履行を確保するため必要な事項を定めるものとする。

 法人税法の趣旨規定は、1965(昭和40)年の全文改正で初めて設けられました。たったこれだけで、法人税法のすべてを簡潔に物語っています。

納税義務者」・・・誰に法人税をかけるのか
課税所得等の範囲」・・・どういったものに法人税をかけるのか
税額の計算の方法」・・・どうやって具体的に計算するのか
申告、納付及び還付の手続」・・・どんな手続きを行うのか
並びに
その(=法人税の)納税義務の適正な履行を確保するため必要な事項

 これらを定めた法律ということですね。そして具体的な内容が、第2条以降に書かれています。見出しが「(趣旨)」となっているとおり、どうしてこの法律をつくったのかという目的を述べるのではなくて、趣旨を述べているため、法人税法第1条は趣旨規定といえます。

 原則は目的規定ですが、法人税法はいちいち目的を述べる必要がないため、趣旨規定が置かれています。


 なお、趣旨規定は法人税法のように、「この法律は、・・・について(・・・に関し)必要な事項を定めるものとする。」という形式がふつうです。所得税法、相続税法、消費税法、租税特別措置法などにも置かれています。


Q. 税法は趣旨規定だけですか?

A. 目的規定をもつものもあります。


第1条が目的規定の場合

 目的規定は「この法律は、・・・することを目的とする。」や「・・・することにより、・・・することを目的とする。」といった表現であらわされることが多いようです。国税通則法国税徴収法などの法令にあります。

国税通則法第1条(目的)
 この法律は、国税についての基本的な事項及び共通的な事項を定め、税法の体系的な構成を整備し、かつ、国税に関する法律関係を明確にするとともに、税務行政の公正な運営を図り、もつて国民の納税義務の適正かつ円滑な履行に資することを目的とする。


Q. 趣旨規定も目的規定もない法令はありますか?

A. もちろん、あります。


施行令はいきなり定義からはじまります

 酒税法地方税法のように目的規定も趣旨規定もない法令もあります。

 それから、法人税法施行令の第1条はどうなってるのかな・・・と思ってみてみると、第1条は「(定義)」で、趣旨規定がありません。法人税法施行規則も同じです。

 法人税法でアウトライン(構造)を固めておいて、その中の細かいところを施行令や施行規則の方で決めているので、趣旨は法人税法と重複しています。そのため、いきなり本題に入っていきます。法令が、その条文の中にできる限り無駄なことを書かないということのあらわれですね。


所得税法第1条を読んでみましょう

 ついでに、所得税法の第1条も読んでみましょう。

所得税法第1条(趣旨)
 この法律は、所得税について、納税義務者、課税所得の範囲、税額の計算の方法、申告、納付及び還付の手続、源泉徴収に関する事項並びにその納税義務の適正な履行を確保するため必要な事項を定めるものとする。


 法人税法とほぼ同じですね。

納税義務者」・・・誰に所得税をかけるのか
課税所得の範囲」・・・どういったものに所得税をかけるのか
税額の計算の方法」・・・どうやって具体的に計算するのか
申告、納付及び還付の手続」・・・どんな手続きを行うのか
源泉徴収に関する事項」・・・源泉徴収はどうするのか
並びに
その納税義務の適正な履行を確保するため必要な事項

 所得税法第1条もやはり趣旨規定です。


 あまりに当たり前のことが書かれすぎていて、ついつい読み飛ばしてしまう第1条ですが、全体を温かく包み込んでいる規定なのですね。


 *関連記事*
税法の条文構造(法人税法を参考に)
http://taxotak.livedoor.biz/archives/50361670.html


 双葉更新履歴
  [2007/06/12 初投稿]
  [2007/09/26 全文改正ver2.0]



トラックバックURL

この記事へのコメント

8. IKE    2007年09月26日 22:49
法律と友達になれているのかはわかりませんが、これだけいろいろ調べていると、法律に対する苦手意識はなくなりましたね。

地味で地道な作業ですが(このブログも)、それが王道だと思っています。

いつも応援ありがとうございます
7.  kimutax@税金まにあ    2007年09月26日 11:04
なるほど〜。第一条は「趣旨規定」、そして、第1条は全体を温かく包み込んでいる…ですか。

勉強になると同時に、IKEさんのやさしさとか、法律がスキなんだなぁ〜とうのが、伝わってくるエントリーですね!
6.  TAXOTAK    2007年06月13日 20:27
卯月さんへ
趣旨を書いているブログは、むしろ少数派かと思います。でも、記事を書いているうちに、いったい何を書いてるんだろう・・・という思いになるため、あえて基準を作ったといったほうが正しいような。そういうわけで、まず自分のために書いているので、はたしてそれを読んでくださった方がどう受け取ってくれるのか・・・。そこは少し怖いところです。

ここはブログというよりもホームページみたいな気持ちで書いているので、卯月さんのように「自由に」は書けませんが、これはこれで今のところ意義があり、うまくできているように思えます。

少なくとも、1日1回更新を自分に義務付けていないところは自由ですね^^

1年経っても同じようなペースで更新できていれば、ひとまず成功といえるでしょう。
5.  TAXOTAK    2007年06月13日 20:23
第4回ブロガーサミットの件

むむむ・・・。スケジュール的にどうかまだ未定ですので、今の時点では保留とさせていただきます。スケジュールがあえば参加なのですが。

二重でも三重でもOKです^^
お知らせいただきありがとうございます。
4.  TAXOTAK    2007年06月13日 20:20
DOOR5296さんへ
少し体調を崩してコメントが遅れました^^;
いつもお読みいただきありがとうございます。
趣旨はそりゃもう、DOOR5296さんのために書いているといっても過言ではないかもしれません。もちろん記事も。
ただし、どうしても書けないものが・・・。いつか人を笑わせるものを書いてみたいものです。このブログ以外でですが・・・。
3. 卯月    2007年06月12日 23:39
私のブログの場合は趣旨を何も書いてないので、
方向があっちに行ったりこっちに行ったりしてますね(^^ゞ

でもその分、自由に運営できたり気ままに続けたり
できるのはメリットでもあるのかな、とも思いました。

現状では、このブログは趣旨を明記することで
うまく行ってるんでしょうか?(^-^)
2.  第4回税務会計系ブロガーサミット    2007年06月12日 12:06
記事本文と関係ないコメントで申し訳ありません。

第4回税務会計系ブロガーサミットを
今年(2007年)9月15日に福岡市で開催します!
詳細につきましては、当方のブログをご覧下さい。

第4回は福岡ばい!税務会計系ばい!ブロガーばい!

是非!ご参加くださいm(__)m

ある意味、
サミット参加は、税務会計系ブログの趣旨であります。
1. DOOR5296    2007年06月12日 08:41
TAXOTAKさんのブログでは、いつも
その運営されるブログの趣旨を書かれてますもんね。
(↑読み飛ばしていないことのあらわれ。。)

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔