2008年04月21日

アメリカの議員立法

明日から法律をつくってください

 アメリカの大統領選挙にからんだニュースが飛び交う昨今ですが、日本とアメリカの政治の仕組みが違うなあと思うところは、立法過程にも見て取れます。

 もしあなたがアメリカで活躍する腕利きの弁護士だったら、ある国会議員からブレーン(brain)として働いてほしいと声がかかることがあるかもしれません。

 アメリカの国会議員は、そのスタッフにたくさんの弁護士を雇います。たとえば20人のスタッフを雇ったとしたら、半分くらいは弁護士だそうです。

 国会議員は、lawmaker of the Dietとも呼ばれ、まさに法律をつくることが仕事だからです。

弁護士がいっぱい

 アメリカには昔からロースクール(Law-school)という法曹家(ほうそうか)を育成する機関があり、日本とは比べ物にならないほどの弁護士が輩出されています(100万人以上とか)。

 日本もようやく司法試験から法科大学院(日本版ロースクール)に移行しましたが、比べ物になりません(日本は2万人くらいとか)。アメリカでは、弁護士資格をもつ=ステータスではなく、弁護士資格をもつ=スタートラインなのですね。

 日本人では、たいてい「弁護士」か「検事」か「裁判官」のどれかになることが多いのですが、アメリカでは「企業内弁護士 @ 大企業」として企業法治やM&Aスキームの構築に貢献したり、「立法スタッフ」となって働くこともあったりと、法にかかわる人は幅広く存在します。

弁護士 @ 弁護士事務所
検事 @ 検察庁
裁判官 @ 裁判所
企業内弁護士 @ 大企業
立法スタッフ @ 政治家事務所


日本の議員立法は少なすぎる

 日本では、たいてい、官僚のみなさんががんばって関係省庁や団体と話をつけて、法案の細部を作成しています。

 それを行政府の法の番人である内閣法制局がチェックして、内閣で閣議決定します(議員立法に対して、政府立法と呼ばれることがあります。)。

 そのため、ほとんどの場合、行政機関が法案を提出することになります。そして、国会での形式的な審議をへて、晴れて法律となります。三権分立といっておきながら、行政機関が大きく立法に影響を与えているのです。

 議院内閣制をとっていることから、与党が政策を実現しようと思ったら、内閣を通じて法案を提出するのが手っ取り早いのですね。

法律案を提出できるのは・・・
(1)衆議院議員または参議院議員
(2)常任委員会、特別委員会または調査会の委員長
(3)内閣

 議員立法は、その名のとおり、「議員」による法案提出です。といっても、(1)と(2)が出した場合の議員提出法律案(出す者により衆法参法とも)を議員立法と呼んでいます。

 日本で過去成立したものとして有名なものは、NPO法人について規定した、特定非営利活動促進法があげられます。これは、1995年の阪神・淡路大震災でボランティア活動の重要性が認識され、それを促進するための法整備として、議員立法により1998年3月に成立しました。

 しかし日本の議員立法は、数が非常に少ないです。法律をつくるためには、一字一句にまでこだわる職人技が必要となりますが、その職人は、ほとんどが行政機関に存在しています。


アメリカは議員立法を作らないと話にならない

 それに対して、アメリカでは、議員がブレーンの弁護士を積極的に使って、議員立法を行います。アメリカでは大統領制で、三権分立が徹底していて大統領が立法提案権をもっていないので、行政機関(連邦議会)からは法案は出せません(正確に言うと、行政機関でも作れますが、最後は議員を通さないといけません)。

 結果、議員立法100%の国となっていす。国会の仕事は、立法です。国会議員の仕事は、国民の声を吸い上げて、法案を提出することではないか…と言わんばかりです。国会議員自身も、当然、ロースクール出身者が多く存在します。

 日本では与党が出してきた法案に対して、野党は対案を出すよりも、審議拒否や牛歩戦術などの行動行使をすることが多く見られますが、アメリカでは2大政党が法案の優劣を競います。それがいいかどうかは別として、アメリカらしいといえば、アメリカらしいやり方ですね。


明日から法律つくってもらいます

 もしも、日本で議員立法が活発になることがあって、あなたがある特定の分野に長けていれば、ある日、国会議員から、「ブレーンの1人」としてスカウトされるかもしれません。

 ・・・でも、その前に裁判員制度ですね。



双葉更新履歴
 [2008/04/21 初投稿]



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