2007年07月10日
租税特別措置法
措置法とは
措置法とは、「租税特別措置法(そぜいとくべつそちほう)」の略称です。熟語に切って読めばわかるように、「租税」に関する「特別」の「措置」をはかるための「法」律です。次のような構造になっています。
| 日本国 | ○○税法 | 租税特別措置法 |
| 内閣(政令) | ○○税法施行令 | 租税特別措置法施行令 |
| 財務省(省令) | ○○税法施行規則 | 租税特別措置法施行規則 |
| 国税庁(通達) | 通達 | 通達 |
トクベツのソチとは何か
といっても、こんな説明では中途半端で本当に説明したことにはならないと思いますので、もう少し深めてみましょう。
そもそも税法は毎年改正が行われるのはどうしてでしょうか。
「え? そういうもんじゃないの?」
もし、税法が毎年変わらなかったら、どうなるでしょうか。
「決算が楽になる!」
・・・なるほど、たしかに経理担当者や会計事務所側の意見としては妥当な回答かもしれません。税制改正の勉強を毎年しなくてもいいわけですし・・・。しかし納税者の立場になってみると、そうともいえないかもしれません。
措置法は「調整役」
企業にとっては税制以上に毎年、いえ、毎日、あるいは今この瞬間にも変わるものがあります。それが経営環境です。バブル崩壊やライブドアショックのように、株価が一瞬にして急降下することによって、どんな影響を受けるでしょうか。中小企業で言えば、今まで主要取引先だった企業と取引ができなくなったらどうなるでしょうか。
企業は常に経営環境の変化と戦っています。経営者の仕事は「変化適応業」と言われるのも、この辺にあるのでしょう。もし経営環境は日々変化していないのに、税制だけがそのままだと・・・。
租税特別措置法(のうち法人税に関わる部分)は、経営環境の大きな変化に対して税制面から調整を行う法令といえます。ですので、非常に政策的なものです。法人税関係でいえば、交際費の使いすぎを制限する「交際費等の損金不算入制度」以外はほとんどが「減税」・・・つまり企業にとっては得する内容になっています。
租税特別措置法1条(趣旨)
この法律は、当分の間、所得税、法人税、相続税、贈与税、地価税、登録免許税、消費税、酒税、たばこ税、揮発油税、地方道路税、石油石炭税、航空機燃料税、自動車重量税、印紙税その他の内国税を軽減し、若しくは免除し、若しくは還付し、又はこれらの税に係る納税義務、課税標準若しくは税額の計算、申告書の提出期限若しくは徴収につき、所得税法(昭和四十年法律第三十三号)、法人税法(昭和四十年法律第三十四号)、相続税法(昭和二十五年法律第七十三号)、地価税法(平成三年法律第六十九号)、登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)、消費税法(昭和六十三年法律第百八号)、酒税法(昭和二十八年法律第六号)、たばこ税法(昭和五十九年法律第七十二号)、揮発油税法(昭和三十二年法律第五十五号)、地方道路税法(昭和三十年法律第百四号)、石油石炭税法(昭和五十三年法律第二十五号)、航空機燃料税法(昭和四十七年法律第七号)、自動車重量税法(昭和四十六年法律第八十九号)、印紙税法(昭和四十二年法律第二十三号)、国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)及び国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)の特例を設けることについて規定するものとする。
趣旨をみると、「税の軽減・免除・還付」と「法人税法などの特例」の2種類について決めていることが分かりますね。法人税以外の所得税などについてもまとめて、この租税特別措置法1つで決めていて、法人税法などよりも優先して適用されます。
■法律を読むための4つの原理(特別法優先の原理)
http://taxotak.livedoor.biz/archives/50179734.html
補助金を払わなくても優遇ができます
それでは、どうやって優遇するのでしょうか。ふつう優遇するといえば、何かをすれば補助金をあげることがまず考えられます。中小企業に対する補助金はいろいろありますね。
それを租税特別措置法では、「設備投資」、「試験研究」、「人材投資」などをしたらその一部を減税したり、あるいは早く固定資産を経費にできるようにしたりして、補助金と似た効果を生じるようにしています。申告書に別表を余分に添付するだけのものが多く、補助金で申請するよりも手続きが楽になるというメリットがあります。
措置法は自動的に消滅します
「なお、このテープは自動的に消滅する(「スパイ大作戦」参照)」といって消えてしまうテープ(煙が・・・)は、送りつけられる前にすでに消滅することが予定されています。
それと同じく、租税特別措置法は「限時法(げんじほう)・時限立法(じげんりっぽう)」とも呼ばれていて、一定期間をすぎるとその効力を失います。
租税特別措置法60条の5
第四十二条の四第六項に規定する中小企業者又は農業協同組合等で、青色申告書を提出するもの(以下この項において「中小企業者等」という。)が、平成十八年四月一日から平成二十年三月三十一日までの間に取得し、又は製作し、若しくは建設し、かつ、当該中小企業者等の事業の用に供した減価償却資産で、その取得価額が三十万円未満であるもの・・・(省略)
このとおり、平成18年4月1日〜平成20年3月31日までに期間を区切っています。ということは、平成20年4月1日にこの法律を使おうと思っても、税制改正でこの期間が延長されない限り、平成20年の3月31日で自動的に適用できなくなるのです。
経営環境は日々変化しています。そのため、租税特別措置法はとりあえず、2〜3年程度様子を見て、必要であれば期限切れの税制改正で延長したり、不要になれば廃止します。
租税特別措置法の3つのポイント
1.法人税法より優先する特例(特別法)
2.ほとんどは減税効果がある(政策的)
3.時期が来たら効果がなくなる時限立法
日本一長文な法令は?
教えて!gooに興味深い質問と回答が掲載されていたので引用させていただきます(質問等が削除される可能性もありますし・・・)。
「日本で最も長文法令とは?」[出典リンク]
○改正附則ありの場合
1位 租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)
2位 租税特別措置法施行令(昭和三十二年政令第四十三号)
3位 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)
4位 地方税法施行令(昭和二十五年政令第二百四十五号)
5位 租税特別措置法施行規則(昭和三十二年大蔵省令第十五号)
○改正附則なしの場合
1位 租税特別措置法施行令(昭和三十二年政令第四十三号)
2位 租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)
3位 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)
4位 租税特別措置法施行規則(昭和三十二年大蔵省令第十五号)
5位 地方税法施行令(昭和二十五年政令第二百四十五号)
私自身、ちゃんと検証していませんが、措置法と地方税法がトップにあるなんて驚きです・・・。
*関連記事*
■なぜ租税特別措置法はこんなに量が多いのですか?
http://taxotak.livedoor.biz/archives/50529775.html
[2007/05/22 初投稿]
[2007/07/10 「日本一長文な法令」追加ver1.3]
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この記事へのコメント
6.
TAXOTAK
2007年05月28日 13:45
デザインに凝りすぎて、中身に手が回っていない状態です^^; 木村先生のように読みたいと思わせる文章にしたいのですが・・・。こればかりはまだまだ修行が必要なようです。
交際費は措置法だからコロコロ変わって、しぶとく生き残ってきたのかもしれませんね。ある意味進化しているのかも・・・。
交際費は措置法だからコロコロ変わって、しぶとく生き残ってきたのかもしれませんね。ある意味進化しているのかも・・・。
5.
kimutax@税金まにあ
2007年05月27日 14:32
既に、わたしのブログを超えたセンスのよさとわかりやすさですよ〜
そういえば、受験生のころ
「なんで交際費損金不算入は『措置法』なのに、なくならないんだろう…」
と思ったなぁ(^_^;)

そういえば、受験生のころ
「なんで交際費損金不算入は『措置法』なのに、なくならないんだろう…」
と思ったなぁ(^_^;)
4.
TAXOTAK
2007年05月26日 13:31
緑の葉さん、コメントありがとうございます^^
このブログもついに緑の葉さんからコメントをいただけるようになったということですね! ありがとうございます。ブログのカスタマイズは木村先生に習ってがんばりました。
今後ともよろしくお願いします
このブログもついに緑の葉さんからコメントをいただけるようになったということですね! ありがとうございます。ブログのカスタマイズは木村先生に習ってがんばりました。
今後ともよろしくお願いします

3. ≪緑の葉≫
2007年05月26日 08:06
こんにちは
聡子先生のブログから拝見しておりました。
とても良く出来た
素晴らしい
ブログですね
センスGood〜
よく勉強されていて感心しています
こちらでも、学ばせて頂きますね

聡子先生のブログから拝見しておりました。とても良く出来た
素晴らしい
ブログですね
センスGood〜

よく勉強されていて感心しています

こちらでも、学ばせて頂きますね

2.
TAXOTAK
2007年05月22日 22:35
たしかに・・・^^;
勉強や仕事の内容が変わるたびに新しいブログを立ち上げていたのですが、今回は「かなり長く続くブログ」を最初からイメージしていろいろこだわってるので、1年では終わらないと思われます。
DOOR5296さんのブログはどこへ向かっていくのでしょうか^^
勉強や仕事の内容が変わるたびに新しいブログを立ち上げていたのですが、今回は「かなり長く続くブログ」を最初からイメージしていろいろこだわってるので、1年では終わらないと思われます。
DOOR5296さんのブログはどこへ向かっていくのでしょうか^^
1. DOOR5296
2007年05月22日 13:39
このブログが消えないことを祈っております。
m(__)m
まっ、私のブログは
・・・
m(__)m
まっ、私のブログは
・・・



