2007年08月17日
法令の解釈は、だれが行うのか?
法令の解釈は、だれが行うものですか?
だれが行ってもいいはずです。
タロウくんがスイカ泥棒をしたら懲役1日?
もし法令が完璧であれば、弁護士や裁判官は必要ないでしょう。税理士が税務調査で税務署と争うこともないかもしれません。
しかし残念ながら、法律には抽象的・一般的という最大の長所であり、かつ、致命的な欠点があります。
「タロウくんがスイカ泥棒をしたら懲役1日」など(?)と、いちいち書くわけにはいかないのも、いちいち書かなくていいのも、そのような法令の性質からきています。
「こういう場合にこういうことをした人はこうなるよ」と、ギリギリのラインで抽象的に書かれることになります。
刑法第235条(窃盗)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
そのため、法律を読んで、実際の事例にあてはめる・・・つまり、「こういう場合」とはどういう場合なのか、「こういうこと」とはどういうことなのかを、具体的に法令にあてはめていく、非常に人間的な作業が必要になります。
これこそが、解釈(法令解釈)だと私は考えています。
通達は、唯一絶対の解釈ではない
日本は、三権分立を採用しているといわれます。つまり、「立法」「行政」「司法」ですね。
このうち法令をつくっているのは、立法機関である国会となっています。そして、それを国などの立場で運用しているのが財務省(主税局)・国税庁・各国税局・各税務署などの税務行政機関です。そしてもし意見の相違があれば司法機関である裁判所で争います。
言い換えると、三権分立とは、「法律を作る」「法律を使う」「法律で争う」という3つの機能を1つに偏らせないで、お互いに牽制(けんせい)させるしくみだといえるかもしれません。
さてここで、だれが解釈するのかという命題を、税法の世界で考えてみると、登場人物は次のようになります。
| 納税義務者 | |
| 税理士 | 税務代理・税務書類作成・税務相談 /書籍 |
| 財務省主税局 | 『改正税法のすべて』※ |
| 国税庁 | 基本通達など |
| 東京国税局 | 『図解 ○○税』※ |
| 各国税庁・各税務署 | 基本通達など/『図解 ○○税』※ |
| 研究者(法科大学院教授など) | 論文・書籍/判例 |
| 弁護士・検事・裁判官 | 判例 |
※『改正税法のすべて』及び『図解 ○○法』は個人的意見との断り書きがありますので、非公式の見解です。これに対して、国税庁の基本通達などは、公式の見解です。
これを見てもわかるとおり、国税庁が出す通達というのは、税法の唯一絶対の解釈ではありません。
あくまでも、同じ法令を、北海道にある税務署がAという解釈をして、沖縄にある税務署がBという解釈をして混乱しないように、行政執行のレベルを統一するために設けられたルールブックです。
*関連記事*
■財務省主税局(財務省内局)
http://taxotak.livedoor.biz/archives/50198291.html
■『税制改正のすべて』
http://taxotak.livedoor.biz/archives/50363651.html
■図解シリーズ『図解 法人税』『図解 所得税』ほか
http://taxotak.livedoor.biz/archives/50373906.html
納税義務者の解釈はどこにあるのか
さて、表ではあえて空白にしてしまいましたが、国の主権者であり同時に納税義務者でもある私たちは、どうやって解釈という意思表示をすればよいのでしょうか。
私の理解を述べると、それは申告そのものだと考えています。
申告書に記載された1つ1つの事項こそが、税法の解釈であり、税務署はその申告書をもとにしなければ、法令・通達に照らし合わせて税務調査もその否認もできません。ですから、私たちにとっての解釈というのは、申告そのものだと考えています。
税理士の独占業務は、「税務代理・税務書類作成・税務相談」です。ここに解釈という言葉は含まれていませんが、そのすべてが、「税法の解釈」を必要としている行為です。したがって、税理士の仕事のその本質を一言で言うと、税法の解釈、つまり税法の具現化ではないのかなと考えるわけです。
いずれにしても、税務当局の考えだけを鵜呑みにせず、納税義務者も税理士も税法の解釈をしなければならないと思います。さらにいえば、そこだけが税理士にとって、コンピュータに取って代わられることがない部分(=最後の砦)なのかもしれません。
[2007/08/17 初投稿]


