2007年05月14日

法令の上下関係も厳しい

上下関係・・・

 どんなことにも基本がありますが、税法を語る上で最初にくるのは、やはり「法令には上下関係」があるということでしょうか。会社には、社長>専務>常務>部長>次長>課長>係長>主任>平社員という日本古来(?)の「序列」があるように、上にくるほど力関係が強くなります。まずは法人税法の体系(の一部)を見てみましょう。

日本国憲法憲法:法律のボスです。これに逆らうことはできません。
日米租税条約など条約:日本とそれ以外の国との取り決め(合意)です。国家レベルで利害関係を調整します。
法人税法法律:国会(の議会)でつくられるルールです。これがメインです。
法人税法施行令政令:内閣で決まり、憲法や法律を実施するためのものです。法人税法の細かい中身が書いてあります。
法人税法施行規則省令:財務大臣などが出す命令です。ほとんどが法人税を計算するための細かいルールです。
法人税基本通達など通達:国税庁が出す行政機関(国税局、税務署)向けの実務指針です。

 序列は、それをつくった官公庁の力関係といえるでしょう。当然、上位のものが優先されます。


政令とは、省令とは

 さて、1つ1つ見ていくと、一番上に来るのは、日本国の最高法規である日本国憲法です。その下に来るのが、「法律」です。法律は先ほどの表の中で色をつけた部分をさしています。

 そしてここからが重要なのですが、法人税法施行令のような「〜施行令」のことを政令(せいれい)と呼びます。施行令は、内閣がつくっているもので、日本で内閣といえば「政府」とほぼ同じ意味です。そのため、政府が出す命令ということで、「政令」と呼んでいます。

 また、法人税法施行規則のような「〜施行規則」のことを省令(しょうれい)と呼びます。先ほどの表には「財務省」と書かれていますが、ある省が出す命令なので「省令」と呼ばれています。

 この法律と命令をあわせて、ここまでを「法令」と呼びます。ふつうは「法律」という言葉の方がなじみやすいと思いますが、ここでは政令・省令もあわせて法令と呼ぶことにしましょう。


通達とは

 先ほどの表の中で「通達(つうたつ)」だけは、法令のグループには入りません。

 通達は「国税庁」が国税局や税務署の職員に対して、同じルールで実務ができるようにつくったルールブックです。取扱説明書どおりにしなかったから携帯電話が使えないわけではないのと同じように、あくまでも行政機関である国税局や税務署の職員にとって実務をスムーズに行うためのものなのです。

 しかし実務をやっていると、通達は法令以上に重要になります。なぜこれが重要な意味を持っているかというと、通達というのは税務調査の省略基準だからです。

 どういうことかというと、税務調査を行うのは税務署や国税局ですが、その判断基準は?と聞かれたら、当然、法令と通達です。ただし、法令は「ぼやっ」と抽象的なことを決めていることが多いので、それをきちんと解釈しないと実際にはなかなか使えません。そういうときに「通達」の出番となります。

 通達とは、「私たちはこういう風に解釈します。もしこれ以上合理的な根拠が他にあれば聞いてあげてもいいですが、そうでなければ、私どもの意見に従った方がお互いの時間のためではないでしょうか?」という規定だったりします。そういうわけで、実務の世界では、法令に何が書いてあるかよりも、それをどのように税務署などが理解しているのかを知るほうが、税務調査対策になるのです。


 ときどき家にたとえられますが、家はしっかりと土台(法律)を築き、その上に骨組みとなる(政令)を立て、外側を(省令)でおおい、最後に「内装」を整えます。

 この中で内装が解釈にあたります。その1つが、通達にすぎません。外見は一緒でも、内装は家によって異なるように、唯一絶対ではないということです。


「固定資産税法」はないのか

 ありません。なぜかというと、「地方税」は国税と違って決め方が違うからです。固定資産税を例にとってみてみましょう。

日本国憲法憲法:法律のボスです。これに逆らうことはできません。
地方税法法律:国会(の議会)でつくられるルールです。これがメインです。
地方税法施行令政令:内閣で決まり、憲法や法律を実施するためのものです。地方税法の細かい中身が書いてあります。
地方税法施行規則省令:総務大臣などが出す命令です。
条例条例:市区町村が決めた独自の決まりです。
規則規則:条例を運用するためのルールです。
地方税基本通達など通達:総務省が出す市区町村向けの実務指針です。

 固定資産税は各市区町村にある固定資産を保有している人(もっている人)にかかる市区町村税の1つです。国税とちがって、地方税は「地方税法」で全体的なルールを定めて、その詳細については各地方公共団体(都道府県、市区町村)の「事情」に合わせて個別に設定できるようにしています。

憲法94条
 地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。

地方自治法223条
 普通地方公共団体は、法律の定めるところにより、地方税を賦課徴収することができる。

地方税法2条
 地方団体は、この法律の定めるところによつて、地方税を賦課徴収することができる。

 たとえば地方税法では上限を決めて、その範囲内で条例を定めれば市区町村の財政事情や人口などに応じて、柔軟な税制をつくることができるということです。ユニークなものとしては、東京都の宿泊税やいくつかの県で採用されている森林税、産業廃棄物税、核燃料税などがあります。


税源移譲か委譲か

 たまにどっちの漢字を使ったらいいのかわからなくなりますが、「税源譲」が正解です。移譲は水平的(対等)な、委譲は垂直的(目下へ)な移動です。国がもっている収入源を地方(自治体)に移して、自立してほしいというのがその意図です。親が子に自立しろというというよりは、移譲(水平的)なので、夫婦間といった対等関係(?)での自立でしょうか。

 「ついに我が家にも税源移譲の余波が・・・」

 住民税の増額により家計がいよいよ苦しくなったとの言い分で、世のお父さん方(=地方自治体)は、お母さん(=国)から毎月もらうお小遣い(=国庫補助負担金)の代わりに、「とりあえずパソコンは一番安いのを買ってあげるから、ホームページでもつくってアフィリエイトするなり、アマゾンのマーケットプレイスで本を売るなりして、これからは自分で稼いでね」といわれるようなものでしょうか。大丈夫か!お父さん!

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法律を読むための4つの原理
http://taxotak.livedoor.biz/archives/50179734.html



 双葉更新履歴
  [2007/04/13 初投稿]
  [2007/05/14 大幅改訂ver2.0]



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1. 憲法って  [ J'aime Fukuoka!〜税理士・小長光 孝のブログ〜 ]   2007年05月16日 12:41
先日、税理士会の研修で伊藤真氏(伊藤塾塾長)の講義を聴きました 私は伊藤氏の口から聴く「租税法律主義」で、 税理士としての自らの役目を再確認しました そして、憲法とはどういうものかというそれ以前の大事な話がありました。基本的なところでありながら、よく踏まえ...

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