2007年07月13日
難しい条文だから"色別"する
条文を読むコツはありますか?
蛍光ペンで色分けしましょう。
どの色でぬろう
法律の条文というのは、ロシアの「マトリョーシカ(Flash)」のように入れ子状態になっています。文の途中で、ある言葉を正確に説明したり、その意味を限定するためにカッコをふんだんに使うからこんなことになってしまうのですね。
そういうわけで、長い条文を読むときには、蛍光ペンによる色分けが欠かせないのです。
国境の長いトンネル(清水トンネル(JR東日本上越線に限る。)を言う。)を抜けるとそこは雪国であった。
たとえば、こんな文章が出てきたら、利き手に蛍光ペンをしっかりもって、早速、色分けをしてみましょう。
国境の長いトンネル(清水トンネル(JR東日本上越線に限る。)をいう。)を抜けるとそこは雪国であった。
身近にある色でやってみましょう
ここでは、色のレベルを1〜3にわけて説明したいと思います。
国境の長いトンネルを抜けるとそこは雪国であった。
まず、黄色でぬった[レベル1]の部分だけを読めば、どこかで聞いたことのあるフレーズですね。
原則として、どんな条文でも、カッコ内を除いた[レベル1]の部分だけで、文章が完結していなければなりません。カッコの中をとったら、文章が部分的に切れてしまったということは起こってはいけないことなのです。
国境の長いトンネル(清水トンネルをいう。)を抜けるとそこは雪国であった。
しかし小説なら黄色い部分だけでいいのかもしれませんが、「国境の長いトンネル」は、たくさんありそうです。このままだと、人によってトンネルが違う、つまり、いろんな解釈が生まれてしまう可能性があります。
そのため、「国境の長いトンネル」を説明するために[レベル2]の部分があります。
国境の長いトンネル(清水トンネル(JR東日本上越線に限る。)をいう。)を抜けるとそこは雪国であった。
さらにそれを説明するために[レベル3]のカッコが登場します。これによって、意味が限定され、誰が読んでも同じ意味にとることが可能になるのです(もちろん、これでも限界はありますが)。
身近にある色を使いましょう
色別するための蛍光ペンの色は人によって違うのでしょうが、とりあえず「身近にある色」を使うのがベストではないでしょうか(事務所のビヒンとか・・・)。
私はよく手許にある色なので、レベル1を「黄色」、レベル2を「桃色」、レベル3を「空色」で色分けしています。ちなみに、法律はたいていレベル3まででおさまります。レベル4はごくたま〜〜にありますが、あまり美しくないのであえてぬってません。
法人税法で実際にやってみました
[ぬる前の姿]
(合併及び分割による資産等の時価による譲渡)
第六十二条 内国法人が合併又は分割により合併法人又は分割承継法人にその有する資産及び負債の移転をしたときは、当該合併法人又は分割承継法人に当該移転をした資産及び負債の当該合併又は分割の時の価額による譲渡をしたものとして、当該内国法人の各事業年度の所得の金額を計算する。この場合においては、当該合併により当該資産及び負債の移転をした当該内国法人は、当該合併法人から新株等(当該合併法人が当該合併により交付した当該合併法人の株式(出資を含む。以下この項及び次条において同じ。)その他の資産(第六十一条の二第三項(有価証券の譲渡益又は譲渡損の益金又は損金算入)に規定する場合において同項の規定により同項に規定する株式割当等を受けたものとみなされる当該合併法人の株式その他の資産を含む。)をいう。)をその時の価額により取得し、直ちに当該新株等を当該内国法人の株主等に交付したものとする。
これが原文です。わけわかりませんね・・・。
【1】 途中までけっこう黄色でした
(合併及び分割による資産等の時価による譲渡)
第六十二条 内国法人が合併又は分割により合併法人又は分割承継法人にその有する資産及び負債の移転をしたときは、当該合併法人又は分割承継法人に当該移転をした資産及び負債の当該合併又は分割の時の価額による譲渡をしたものとして、当該内国法人の各事業年度の所得の金額を計算する。この場合においては、当該合併により当該資産及び負債の移転をした当該内国法人は、当該合併法人から新株等(当該合併法人が当該合併により交付した当該合併法人の株式(出資を含む。以下この項及び次条において同じ。)その他の資産(第六十一条の二第三項(有価証券の譲渡益又は譲渡損の益金又は損金算入)に規定する場合において同項の規定により同項に規定する株式割当等を受けたものとみなされる当該合併法人の株式その他の資産を含む。)をいう。)をその時の価額により取得し、直ちに当該新株等を当該内国法人の株主等に交付したものとする。
最初のカッコがくるまで黄色で塗ってみました。ここまでは基本となるレベル1の文章が続いています。慣れないうちは、「色のぬり間違い」をして、非常にくやしい気持ちになりますので、焦らずに、カッコかきたら蛍光ペンをもち替えます。いきなり1色の蛍光ペンで検討をつけてぬってしまうのではなくて、このように1つ1つぬり分けていくのがコツです。
【2】 やっと色が変わりました
(合併及び分割による資産等の時価による譲渡)
第六十二条 内国法人が合併又は分割により合併法人又は分割承継法人にその有する資産及び負債の移転をしたときは、当該合併法人又は分割承継法人に当該移転をした資産及び負債の当該合併又は分割の時の価額による譲渡をしたものとして、当該内国法人の各事業年度の所得の金額を計算する。この場合においては、当該合併により当該資産及び負債の移転をした当該内国法人は、当該合併法人から新株等(当該合併法人が当該合併により交付した当該合併法人の株式(出資を含む。以下この項及び次条において同じ。)その他の資産(第六十一条の二第三項(有価証券の譲渡益又は譲渡損の益金又は損金算入)に規定する場合において同項の規定により同項に規定する株式割当等を受けたものとみなされる当該合併法人の株式その他の資産を含む。)をいう。)をその時の価額により取得し、直ちに当該新株等を当該内国法人の株主等に交付したものとする。
1つ目のカッコ内は、レベル2です。桃色で塗ります。おっと、さらにその中にカッコがありますね。慌てず色を替えましょう。レベル3は空色に塗ります。
【3】カラフルになりました
(合併及び分割による資産等の時価による譲渡)
第六十二条 内国法人が合併又は分割により合併法人又は分割承継法人にその有する資産及び負債の移転をしたときは、当該合併法人又は分割承継法人に当該移転をした資産及び負債の当該合併又は分割の時の価額による譲渡をしたものとして、当該内国法人の各事業年度の所得の金額を計算する。この場合においては、当該合併により当該資産及び負債の移転をした当該内国法人は、当該合併法人から新株等(当該合併法人が当該合併により交付した当該合併法人の株式(出資を含む。以下この項及び次条において同じ。)その他の資産(第六十一条の二第三項(有価証券の譲渡益又は譲渡損の益金又は損金算入)に規定する場合において同項の規定により同項に規定する株式割当等を受けたものとみなされる当該合併法人の株式その他の資産を含む。)をいう。)をその時の価額により取得し、直ちに当該新株等を当該内国法人の株主等に交付したものとする。
これで色別できましたね。とりあえず、黄色い部分だけ読んでみると、多少はましになったかと思います。当然ですが、これはあくまでも「準備」ですので、これをやったらなんでも法令が理解できるというわけはありませんが、まっさらな状態から読んで語句のつながりを誤解することを考えると、地味ですが、非常に使える技だと思います。
あれ? 塗り忘れていませんか?
良いところに気づかれました! ここの部分のことですね。
第六十一条の二第三項(有価証券の譲渡益又は譲渡損の益金又は損金算入)に規定する場合において・・・
同じカッコでも、このカッコ内に書かれているのは、「第六十一条の二第三項」の見出しです。意味を限定していたり追加するためではなくて、「第六十一条の二第三項(有価証券の譲渡益又は譲渡損の益金又は損金算入)」でワンセットなのですね。
そういうわけで、このカッコ内はレベルが上がるわけではありません。レベル3からレベル4になって別の色でぬるのではなく、ぬらないか、第六十一条の二第三項と同じで空色にぬるかを選択すればよいかと思います。個人的には、ぬらないほうが見やすいですが・・・。
第六十一条の二第三項(有価証券の譲渡益又は譲渡損の益金又は損金算入)に規定する場合において・・・
さて、ぬり方には決まったルールなんてありませんので、自分なりに追求してみてください。あなたが理解しやすい色の使い分けが、当然、ベストです。
ちなみに、私がいつも使っているのはどこにでもあるZEBRAの「蛍光OPTEX CARE」です。黄色は特にたくさん使うため、常に2本携帯していたりします。
あと、法規集にはよく参照する条文のところに付箋(ポストイット)をつけておくと、より使い勝手が上がります。
[2007/04/28 初投稿]
[2007/07/13 増補ver2.0]
トラックバックURL
この記事へのコメント
6. TAXOTAK
2007年07月14日 22:18
コメントありがとうございます^^
5色・・・しかも紫が入ってるんですね。
税法が1番難しいとおっしゃる方は私も出会ったことがありますが、根拠まで聞きたいですね・・・。会社法や民法などの周辺法律とからみにからんで、しかも毎年税制改正するからというのが理由なのかなと勝手に思っていますが・・・。
でも弁護士の方にそういわれると心強いですね。まずは税理士として法律家の仲間入りをしたいものです^^
5色・・・しかも紫が入ってるんですね。
税法が1番難しいとおっしゃる方は私も出会ったことがありますが、根拠まで聞きたいですね・・・。会社法や民法などの周辺法律とからみにからんで、しかも毎年税制改正するからというのが理由なのかなと勝手に思っていますが・・・。
でも弁護士の方にそういわれると心強いですね。まずは税理士として法律家の仲間入りをしたいものです^^
5.
kimutax@税金まにあ
2007年07月14日 21:56
どもども!
私は蛍光ペンを5色持ち歩いてますよ♪(ピンク・ブルー・黄・橙・紫)
ときどき5色必要な条文も出てくるとさすがにギョギョっとします
知っている弁護士さんも「税法が一番難しい法律だな。だから税理士は、もっと法律家として誇りを持ってよいと思うよ」と言われたことがありますよ。
私は蛍光ペンを5色持ち歩いてますよ♪(ピンク・ブルー・黄・橙・紫)
ときどき5色必要な条文も出てくるとさすがにギョギョっとします

知っている弁護士さんも「税法が一番難しい法律だな。だから税理士は、もっと法律家として誇りを持ってよいと思うよ」と言われたことがありますよ。
4.
TAXOTAK
2007年05月01日 20:26
マーカーは事務所にあるものをぜひ。
持つべきものは事務所でしょうか。
3色マーカーとかあると便利・・・なのでしょうか。やはり3本あったほうがいいかもしれませんね(^^;)
持つべきものは事務所でしょうか。
3色マーカーとかあると便利・・・なのでしょうか。やはり3本あったほうがいいかもしれませんね(^^;)
3.
かや
2007年05月01日 08:09
僕はマーカーの使い方がへたくそなんで、
今回の記事はすっごく参考になりました!!
っていうか、
マーカーを3色も持ち歩いてないや…(爆)
今回の記事はすっごく参考になりました!!
っていうか、
マーカーを3色も持ち歩いてないや…(爆)
2.
TAXOTAK
2007年04月29日 12:55
先読みしないと( )内はなかなか正しく塗れませんね。読み取る前にモチベーションが下がりますよね(T T)
1. DOOR5296
2007年04月28日 09:22
塗り間違えたときの・・・
あのショック感から立ち直れないときが多々ある。。
あのショック感から立ち直れないときが多々ある。。


